中村憲剛「川崎の底力」を実感。ACL残り2連勝で決勝T進出
蔚山現代戦で先発した川崎の中村憲剛。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
技と力を組み合わせ、「プランB、プランC」も選択可能。
[ACL GS4節] 川崎 2-2 蔚山現代 /2019年4月23日/等々力陸上競技場
アジアチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ4節、川崎フロンターレが韓国Kリーグの蔚山現代FCと2-2で引き分けた。川崎は通算1勝1分2敗の勝点4で3位。残り2試合、連勝すれば自力で決勝トーナメントが可能となった。
4-2-3-1のトップ下で先発した中村憲剛は試合後、次のように課題と収穫を挙げた。
「警戒していたセットプレーから先制され、2失点目も自分たちのスローインから与えてしまい、すごくもったいなかった。(スコアが1-2で)そこからパワーを使わないといけない展開になったが、引き分けでもいいと守りを固めてきた相手に追い付き、そのあと逆転できる雰囲気も作れました」
勝ち切ることはできなかったが、上海上港とシドニーFCが引き分けたため、川崎に決勝トーナメントへの自力突破の芽が出た。2連勝で突破は決定する状況に持ち込めた。5月7日の次節は、上海上港とのホームゲームだ。そして中村は総力戦を誓った。
「もちろんホームでの勝点1は良くない。それでも向こうに勝点3を与えず、勝点1を積み上げられた。これを次につなげないと意味がない。あと2試合、ここからは総力戦。いろんな人を織り交ぜ、みんなでとにかく進んでいかないといけない」
何より彼が実感していたのが「川崎の底力」だ。今回も技のみならず力を織り交ぜ、82分に追い付き、小林悠、知念慶が再逆転まであと一歩……という決定機を作り出した。
「カウンターを食らう場面もありましたが、しっかり走り、走ればチャンスを作れていました。そこを決め切るかどうか。後半はそういった場面がかなり増えたと思います。
そこまでの(ボールの)運び方はできていて、阿吽の呼吸がかなり深まってきています。そこに知念、ダミアンと、こうした戦いに強いパワーのある選手が加わり、同点に追いつけました。あの手、この手を使わないと、この強度の相手からは点を取りに行けない。もちろん、自分たちのやるべきことをやって勝つのが一番いいけれど、プランB、プランCも使っていける。
底力がこのチームにはついてきていると思います。
とにかくやるべきことをブレずにやらないといけない。JリーグとACLがここから平行して続きますが、みんなで全て勝ちに行きます」
コーナーキックを蹴る際、背番号14のバンディエラは1万人の観衆を煽り、ひときわ大きなボルテージの声援を求めた。サポーターを含めた、まさに総力が、このタフな大会を戦い抜くには重要だ。そう言わんばかりに。
実際、この日の執念の同点ゴールをもたらしたのは、紛れもなく等々力陸上競技場を包み込んでいた一体感であり、川崎の底力だった。
文:サカノワ編集グループ