日韓対決、冷や汗ミスの新人DF関川郁万に永木亮太が掛けた一言
「とにかく一番声を出せ」。その助言を受けた関川は、誰よりも大きな声を飛ばしていた。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
ファーストプレーで失敗した18歳へ「とにかく一番声を出せ」。
[ACL GS4節] 鹿島 0-1 慶南/2019年4月24日/カシマサッカースタジアム
鹿島アントラーズのDF関川郁万がアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の慶南FC戦でセンターバック(CB)として先発し、鹿島での公式戦デビューを果たした。ビルドアップのパスを何度かミスした一方、1対1のマッチアップではほとんど負けなかった。時間が経つごとに落ち着いたプレーを披露。試合は0-1で負けたが、課題が見えたなかで可能性を感じさせるプロとしての一歩を踏み出した。
「緊張は全然しなかったけれど、上手くゲームに入れませんでした。試合勘(の影響)もあったと思います」
今季流通経済大柏高から加入した18歳は、そのようにデビュー戦を振り返った。
ファーストプレーだった。ボール奪取に成功しマイボールにする。しかし、そこから中盤につけようとした縦パスがインターセプトされ、逆に1対1で抜かれれば失点――という大ピンチを招いてしまう。そこは何とか身を挺して防いだが、スタンド全体に、大丈夫か……という空気が漂う。
するとCBのコンビを組んだ三竿健斗、ボランチの永木亮太がつかさず関川のもとへ駆け寄って言葉をかける。永木は何かをしきりに強調していた。
『とにかく、一番、声を出せ』
CBとして関川がチームの最後方から、全体が誰よりも見えている。だからこそ「一番声を出すように」と。その声で俺も動く、躊躇わずやってみろ、という永木からの背中を押す言葉だった。
「鹿島は勝たなければいけない。勝たなければ、貢献したとは言えない。失点したことにイライラしています。それは俺の責任でもあり、最終ライン全体の問題でもあります。(直接失点にかかわっていないとは言え)その前で防げたかもしれないし、声で解決する部分もあったと思う。それは一つ出た課題です」
試合は淡々と進んでいき、悪い流れは一向に変わらなかった。そして関川は改めて声の大切さを実感していた。
「無失点であれば負けはない。連係の面は時間も必要ですが、まず気持ちで伝わるってことはない。声を出す大切さを改めて感じました。日々練習するための課題が見つかったことも収穫です」
ミスパスはあった。ただ、守から攻への切り替えはスムーズで、犬飼智也や町田浩樹にはない足元の技術や柔軟性も垣間見せ、新世代型のCBだと感じさせた。ここからは関川にしかない強みを出していくこともテーマになる。
文:サカノワ編集グループ