名波監督が明かすルクセンブルク代表FW「再生」までの道程
浦和戦で決勝点を決めた磐田のロドリゲス。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
磐田に4試合ぶりの勝利をもたらしたロドリゲス。勢いに乗れるか。
[J1 10節] 浦和 0-1 磐田/2019年5月3日/埼玉スタジアム2〇〇2
「詳しく話せば2時間ぐらいになるんですけれどね」
ジュビロ磐田のMF名波浩は1-0の勝利を収めた浦和レッズ戦後の記者会見、今季獲得したルクセンブルク代表(ポルトガル出身)FWロドリゲスがどのようにチームにフィットしてきたかについて、そのように切り出すと、2時間とはいかないまでも少し時間をとって説明をした。
「3節の大分戦(●1-2)で退場者(30分に大南拓磨が一発レッド)が出て、彼は30分ぐらい(33分に)交代しました。そこからちょっとメンタルの浮き沈みが激しくなり、4節の鳥栖戦(●0-1)の遠征には帯同させず、『代表戦、闘ってこい』と母国に送り出しました。リフレッシュして戻ってこい、と」
するとロドリゲスは3月23日のEURO予選、ルクセンブルク代表としてリトアニア代表からゴールを奪う。が、帰国した直後の中2日で迎えた鹿島アントラーズ戦(△1-1)もメンバー外に。湘南ベルマーレ戦(〇2-0)では途中出場からJリーグ初ゴールを奪ったが、彼のなかでは、まだモヤモヤしたものを抱えていた。
名波監督は説明する。
「そこで飛ばされたゲーム(鹿島戦)に対して強い気持ちを持っていて、そこからちょっと選手や我々とのコミュニケーションを取れなくなってしまいました。ただ、ルヴァンカップで松本に遠征した日(4月10日)、クラブで強化部や代理人を交えて話をして、そこから180度変わりました」
その話し合いにより、ロドリゲスのなかでのわだかまりが解けたという。そしてリーグ戦の清水エスパルス戦(●1-2)で2試合連続弾。続く名古屋グランパス戦(●0-1)で、リーグ初先発を果たす。89分に2枚目のイエローカードをもらって退場し、出場停止の1試合を挟み、この浦和戦で先発復帰を果たした。
「やる気が出て、それに伴い良いパフォーマンスが急転しました。それを続けてほしいです」
名波監督はそのように磐田の新エース候補に期待を込めた。
決勝点を奪ったロドリゲスは、その3月下旬から4月上旬の心境について「少し個人的に難しい時期はありました。ただ、いろんな方々が支えてくれたお陰で、頭の中を少し整理することができました。何より前向きにプレーをしなければ、勝てないとも思いました」と振り返った。
そしてこの日、今季3点目を奪取。ロドリゲスは「自分だけの力で、あのゴールを決め切れたわけではありません。みんなの頑張りがあってこその決勝ゴールだったと思います」と殊勝に語った。
磐田が巻き返すためには、このストライカーの活躍が不可欠だ。暫定ではあるが、チームは17位から13位に浮上した。
文:サカノワ編集グループ