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【ポーランド便り】街角で垣間見たイタリアの強さの「秘訣」

ポーランドの街角でサッカーに興じるU-20イタリア代表の選手たち。写真:松尾祐希/(C)Yuki MATSUO

そしてU-20代表の選手たちはボールを蹴り出した。

[ポーランドU-20W杯 GS3節] 日本 – イタリア/2019年5月29日(日本時間30日1:00)/ビドゴシュチ

 ポーランドU-20ワールドカップ(W杯)グループステージ最終節、U-20日本代表は明日5月29日に決勝トーナメント進出を懸けてU-20イタリア代表と対戦する。

 2連勝のイタリアはすでに決勝トーナメント進出が決定。1勝1分の日本も引き分け以上で2位以上が確定する。また、敗れて3位(2位の可能性もある)になったとしても、6組中上位4チームが決勝トーナメントに進めるため、得失点差も重要になる。

 アジア、ヨーロッパ、南米、北中米、アフリカ、オセアニア、それぞれ特色が異なり、各チームのカラーが異なっていて面白い。身体能力を生かしたチームもあれば、守備に特化した国もあり、まさに十人十色だ。

 日本が29日の最終戦で対戦するU-20イタリア代表はGKのアレッサンドロ・プリッツァーリ(ACミラン)を中心に、今大会屈指の守備強度を誇る。“カテナチオ”(イタリア語で「閂(かんぬき)」を意味する)と称される伝統は、若い世代のチームにも継承されている。

 印象に残る戦いぶりで2連勝を収めている彼らだが、ピッチを離れれば、20歳以下の若者だ。無邪気で陽気なラテン系気質の振る舞いを見せる。

 ある日の午後、ブィドゴシュチュの市街地を歩いていると、イタリア代表の選手たちに遭遇した。街を散歩していた5、6人の選手たちは風景を楽しんでいると、おもむろに車などが通る場所にも関わらず、リフティングを始めたのだ。

 彼らの表情は一様に明るい。気付けば30分近く、美しい風景と同化するようにサッカーを楽しんでいた。

 思い起こされたのが、U-17日本代表の森山佳郎監督の話だ。U-17W杯など代表の活動で他の強豪国と同じホテルになると、たくさんの選手が所構わずボールを蹴る姿を目にしたという。森山監督の話によれば、そんななか、日本の久保建英も食事会場に向かう時でもボールを蹴っていたそうだ。

 U-17W杯、そしてU-20W杯。まさに世界のサッカー小僧が集結している。

 ボールと戯れているうちに技術の向上にもつながっている。上手くなるため、というよりも自然と。サッカーがある意味、生活と直結している。そんなワンシーンだけで、一概には言えないかもしれない。ただ、そんなポーランドの街角でもサッカーを興じる若き選手たちの姿に、これから磨かれていく勝負強さの原点――強国イタリアを支える本質の部分を垣間見た気がした。

取材・文:松尾祐希(フリーライター)

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