【日本代表】長友佑都が語る3バックの難易度「とにかく頭を使う。脳が疲れた」
トリニダード・トバゴ戦、左ウイングバックで先発した日本代表の長友佑都。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
ウイングバックのポジショニングによって「チーム全体が狂う」という経験を踏まえてプレーした結果――。
[キリンチャレンジカップ] 日本 0-0 トリニダード・トバゴ/2019年6月5日/豊田スタジアム
日本代表の長友佑都がトリニダード・トバゴ戦、3-4-2-1の左ウイングバックとして80分間プレーし、無失点に貢献した。一方、攻撃面では課題を残したものの、「これまで良いイメージがなかった」という3バックだが、「オプションになり得る」と好感触を掴んだ。
長友はこの日のプレーについて、「特に前からプレッシャーをかけるのか、後ろが危ないから下がるべきか、中途半端なポジショニングをとって相手を混乱させるべきなのか、とにかく今日は考えながらやっていたので、脳が疲れましたよ」とほっと安堵。その理由である4バックとの比較について説明した。
「4バックだと分かりやすいですからね。自分のポジションに立って守備をすれば良い。ただウイングバックはとにかく頭を使わないといけない。僕の一つのポジショニングでチーム全体が狂うこともある。難しいですよ」
そして昨年のロシア・ワールドカップでのベルギー戦。最後に失点を喫したシーンを例に、3バックをオプションにすることの強みについても語った。
「間違いなく強みになります。オプションを持っていることで、相手がパワープレーで出てきた時……例えば昨年のワールドカップのベルギー戦(●2-3)、相手の身長の高い選手が出てきた時、3バックで対応できていれば、そのサイドの二人と5バック気味でいければ、また違った結果になっていたかもしれなかった。たら、れば、ですが。オプションを持てれば、間違いなく強みになります」
そのように複数のシステムを使い分けることのメリットを挙げた。
ただ、戦術の浸透を図るためには時間がかかる。ある程度ポジションごとに役割が明確な4バックとは異なり、3バックをモノにするには時間が掛かるというのも正直な本音だ。
「これまで3バックは良いイメージがなかった。代表で3バックが機能したことは正直なかったんじゃないですか。ザッケローニさんの時も全然ハマらず、僕も混乱していた。
そういった経験を踏まえて、今日はもっと難しい試合になると思っていました。ボールの取りどころもなく、前半少し混乱するかな? と思っていた。しかし、そんなこともありませんでした。個人としても何年かぶりのウイングバックで難しさを感じながら、森保監督の考え方も聞いてできました」
そのように無失点に抑えられたことで、しっかり一歩目を踏み出せたという。いかに攻撃につなげていくのか、など課題が出たこともむしろポジティブなこと。しっかりと対応した”後輩たち”の柔軟性にも目を細めていた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI