【浦和】マウリ、エヴェ、ファブ…敵地韓国の豪雨のなか放ったブラジル人トリオ極上の輝き
(左から)浦和のファブリシオ、マウルシオ、エヴェルトン。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
3点目を決めたエヴェルトン「監督から『もっと前へ行っていい』と言われていたんだ」。
[ACL 決勝T①-2nd] 蔚山現代 0-3 浦和/2019年6月26日20:00/蔚山文殊サッカースタジアム ※2戦合計 4-2で浦和がベスト8進出
アウェーの地で浦和レッズが蔚山現代に3-0の勝利を収めて、埼玉スタジアムでの第1戦(●1-2)から”大逆転”の勝利を収め、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)ベスト8進出を果たした。試合を通して激しい雨が降り続けた一戦のなか、極上と言える輝きを放ったのが、この試合で先発に抜擢された、ファブリシオ、エヴェルトン、マウリシオのブラジル人トリオだった。
ファブリシオは「メンバー発表の時、選手も驚いた」(宇賀神友弥)という練習でも試していなかったシャドーでの起用。そして第1戦を欠場したマウリシオは満を持しての登場。唯一、エヴェルトンが2試合連続でボランチとしてピッチに立った。
ファブリシオは相手のDFとMFの間にできたスペースを生かしてボールを受けて、相手を困惑させ続けた。マウリシオは第1戦で引き締まらずにいた最終ラインに喝を入れるように、相手CFへの強烈なプレッシングとハイボールへの抜群の反応で、相手に危険なエリアからシュートさえ打たせなかった。
そしてエヴェルトンは、ACL初ゴールをこの大一番でねじ込んだ。
浦和が2-0とリードして迎えた87分だった。1点奪われれば延長戦に突入してしまう予断の許さぬ状況下、山中亮輔のクロスを杉本健勇がヘッドで落としたところ、ボランチの位置からゴール前へ抜け出して、右足のボレーで合わせて仕留めた。
「立ち上がりからしっかり試合をコントロールできて、チャンスを作りながら良い形を作れていた。必ず勝利できると自信を持ちながらプレーできていたよ。ゴールを決めるのはサッカーの最高の瞬間。それを浦和のユニフォームを着て決めることができて嬉しかった」
エヴェルトンはそのように振り返った。得点シーンは、ここがチャンスだと本能が働いたという。
「監督からはいつも、『もっと前へ行っていい』と言われていたんだ。あの(87分の得点)シーンでは、失点しないことを前提にバランスを取りながら、さらに楽な展開にするため、『ここはチャンスだ』と感じて上がって行き、健勇からしっかりとしたボールが来て、決めることができた。本当に良かったよ」
FCポルトから今季期限付きで加入(昨季はポルティモネンセでプレー)した26歳のボランチは、歓喜というよりむしろ安堵したように語った。
「チャンスも作れて、球際でも負けず、相手のスペースを最初から最後まで消しながらできた。すべての面で上回ることができたと思う」
勝利を手にしたことに加え、大槻毅監督のもと、安定したパフォーマンスを発揮し始めたのもプラス材料に挙げられるだろう。
もちろん全員のパフォーマンスが秀逸だった。そのなかで結果的に揃う形で先発した彼らブラジル人トリオの正確なプレーが土砂降りの悪コンディションの中で一段と光り、浦和は大会を制した2017年以来となるアジアのベスト8に進んだ。
強行日程となる明日のアウェーでの大分トリニータ戦。彼らの出場はあるのか? ファブリシオ、エヴェルトン、マウリシオ――自信を深めた浦和のユニフォームをまといし戦士たちが、新たな戦いへと向かう。
※浦和の次戦
[J1 17節] 大分- 浦和/2019年6月30日/昭和電工ドーム大分
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI