「ラモスさんがいても…本当に恐ろしい大会」カズが天皇杯辛勝で思い出したブラジル帰りの苦い思い出

試合後、声援に応える横浜FCの三浦知良。(C)SAKANOWA

古巣の東京Vも法政大に敗れるなどジャイアントキリングが相次ぐなか、横浜FCは仙台大に逆転勝利。

[天皇杯2回戦] 横浜FC 2-1 仙台大/2019年7月10日/ニッパツ三ツ沢球技場

 Jリーグ最年長52歳の横浜FCのカズことFW三浦知良が天皇杯2回戦・仙台大学戦で先発し、公式戦約3か月ぶりとなるピッチに立った。自身の持つ天皇杯の最年長出場記録も更新。試合前から予定されていた「60分」を戦い切り、チームは2-1と逆転勝利を収めて、3回戦の横浜F・マリノスとの「横浜ダービー」にコマを進めた。

 2週間前の練習試合で実戦復帰し、そこから練習を積み、この公式戦のピッチに立った。百戦錬磨の男と言えども”本番”の舞台からはだいぶ離れていただけに、「チームメイトに助けられながらプレーできて、何より勝てたことが良かった」と振り返った。

 対戦相手は子どもであってもおかしくない世代の大学生。そして途中交代した相手は17歳のU-20日本代表の斉藤光毅だった。ただし、そういった年齢のことについて、カズは改めて次のように強調した。

「若手、ベテラン、刺激は年齢に関係なく受けています。特に大学生だから、プロだから、という意識を持つことなく、僕はトレーニングも試合もして接しています。天皇杯という歴史あるトーナメント。リーグ戦と変わらず、それに年齢的なこともいつも通り気にせず臨みました」

 勝ち上がってきた「資格」の与えられた者が臨めるステージ――それがプロもアマチュアも問わず真の日本一を決めるトーナメント「天皇杯」だ。もちろんそこにカテゴリーや力の差はあるものの、対戦する以上、本気で叩きに行かなければ勝ち上がれない。カズはそのようにこの大会に懸ける思いを語った。

「いくつかのJリーグクラブが初戦で負けていますからね。ヴェルディも大学(法政大)に負けたそうですね」

 そして、思い返したのが”あの”出来事だ。

 三浦は1990年7月、ブラジルから帰国。読売クラブの一員として優勝を命題に掲げて臨んだ天皇杯、まさかの2回戦敗退を喫している。

「僕らもここで、ブラジルから帰ってきて、一番最初の天皇杯、ラモスさんもみんな揃っていたなかで、国士館大学に負けましたから。2回戦でした。しかもPK戦で。そういう経験をしていますからね、本当に恐ろしい大会ですよ。そういうことを伝えて臨みました」

 無論、Jリーグ発足前の日本リーグ時代、ジャイアントキリングをされた経験を持つ、唯一の現役プレーヤーである。カズであっても、そのように克明に当時の”傷”を覚えているのだ。

 この日の横浜FCは1点を奪われたものの、その後はギアを一気に上げて、仙台大に襲い掛かった。

「グラウンド状況もよくなかったので、割り切って、シンプルに相手の嫌なところを突いていこうと、戦術を変えたことが上手くいきました。(松井)大輔と戸島(章)がいいところで決めてくれました。天皇杯の1、2回戦は勝ちにこだわることが大切。(自身は)なかなかボールに触れる機会が少なく、満足のいく内容ではなったですが、60分できたことで次につなげられました。もっとボールにかかわれるように、ここから上げていきたいです」

 キング・カズはチームの勝利をそのように喜んだ。

 8月14日の3回戦、横浜F・マリノスと再びこのニッパツ三ツ沢球技場で対戦する(19時開始)。

 1年前にも3回戦でも、カズと中澤佑二がキャプテンマークを巻いて激突し、横浜FCが先制しながらも、延長の末に逆転負けを喫している。果たして「横浜ダービー」でのリベンジなるか。「そこを目指します」と、カズの闘志が再び熱く燃え始めた。

[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI

Ads

Ads