山口蛍が感じ取る今迎える神戸の分岐点「下に行くのか、上へ行くのか」

神戸の山口蛍。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

チーム唯一、全試合フルタイム出場中。「バラバラになるのは簡単。まとまることは難しい。一つになれれば、結果はついてくる」

[J1 19節] 湘南 3-1 神戸/2019年7月14日/Shonan BMWスタジアム平塚

 ヴィッセル神戸のMF山口蛍は湘南ベルマーレ戦、アンドレス・イニエスタとコンビを組んでボランチとして先発し、開幕からチーム唯一となる全19試合フルタイム出場を果たした。この日も素早くスペースを埋めて、湘南の狙うカウンターの芽を摘むなど中盤の広いスペースをカバーしながら、状況に応じて守から攻への切り替えから起点となった。

 20分にはイニエスタのロングフィードから、古橋亨梧の豪快な左足のミドル弾が飛び出して先制に成功。しかし、そのあとの追加点のチャンスを逃していると……湘南の反撃から3失点を喫して、逆転負けを喫してしまった。

 神戸はリーグ戦5試合負けなしが続いていたものの、ここで2連敗を喫して、足踏みが続いてしまった。

 山口は試合後、「勝ち切れる試合だった」と悔しそうに振り返った。

「(失点は)防げたと思います。もっと突き詰めてやるしかない。単純な形から失点してしまって、いずれも改善すれば防げるものばかり。今日は勝ち切れる試合だったと思うし、自分たちがしっかり失点せずやらないといけなかった。何本もあったチャンスで、あと1点決めないといけなかった」

 その守備面の改善点については、「(湘南は)シンプルにロングボールからセカンドボールを拾い、サイドを活用して狙う形でした。そこに上手く対処できていなかった。センターバックを含めてコミュニケーションを取り、どんどん動かしてマークを引き渡していきたかった。最終ラインは経験のある選手ばかりではないので、そのように経験を積み重ねて、次に生かしいくしかないです」と語っていた。

 一方、攻撃面では、「上手く行かない時」の”二の手”の必要性を課題に挙げる。

「前線に4枚が横並びになってしまうシーンが多く、誰かが下がってくるなどしないと、結局、(ロングボールばかりを)蹴ってしまうことになる。そこを工夫してやっていかないと、同じことの繰り返しになってしまう。もちろん、上手くいっている時はそれができている。ただ悪くなった時、今回のようになる傾向を感じます」

 そして、山口は今、チームが一つの重要な分岐点を迎えているのではないかと感じ取っていた。トルステン・フィンク監督の就任から約1か月、ここが勝負どころだ、と。

「勝つためには、もちろん割り切ることも大切です。ただ、チームとして、割り切るのか、そういったスタイルを貫くのか。そこは明確にしたほうがいいのかなと思います。

 中途半端なまま試合が進んでしまったところがあり、しっかりつなぐのであれば、意図を持って、それをしっかりやっていけばいいと思う。それで上手くいかないことがあっても、続けてやれればいい。

 今ははちょっと中途半端になることが多いのかなと、そこは監督が新しくなり、時間をかけてやっていくべき部分でもあります。ただ、時間はあると言っても、結果を出さなといけない。点は取れているので、失点せずいかに耐えるか。そこをやるしかないです」

 何より山口は、チーム全体で共有意識を持ち、一丸となって目標へ突き進むことが大切だと強調した。

「(フィンク監督就任後)すごく良かった。ただ最近の2試合は上手くいっていない。(後半戦に突入して)ここから残り試合があるなか、自分たちが下に行くのか、上に行くのか。全員で一つになって目標に向かってやっていかないといけない。

 みんなが強い気持ちを持ってやらないと。バラバラになるのは簡単。まとまることは、本当に難しいと思います。それでもバラバラにならず、チームのみんなで一つになっていければ、自ずと結果はついてくるもの。今は下を向かず、みんなで前を向いてやっていきたいです」

 一時は上位進出への視野が開けてきていた神戸だが、ここで勝点ゼロの試合が続き、6勝3分10敗(30得点・34失点)の勝点21で15位。確かに湘南戦の前半に見せた攻撃は、観る者をワクワクさせる華やかさもあった。さらに求められるのは90分間での、勝利へのシナリオ。危機察知能力に長ける28歳のボランチは、先を見据える視点と、ディテールにこだわる視点と、両方の「眼」から、ここが神戸にとっての勝負どころだと捉え、そのうえで「前を向くこと」の大切さを強調していた。

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[取材文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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