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【神戸×横浜FM】チアゴの一発レッドは妥当?厳しい?JFA審判部の見解は…

横浜FMのチアゴ・マルチンス。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

『ドグソ』の4条件、焦点は「ボールコントロール」だが――上川氏は妥当と説明。

[J1 20節] 神戸 0-2 横浜FM/2019年7月20日/ノエビアスタジアム神戸

 ヴィッセル神戸対横浜F・マリノス戦の59分、ゴール前へ抜け出した神戸の古橋亨梧を横浜FMのDFチアゴ・マルチンスが足を出して止めたファウルにより、「ドグソ(=決定起阻止)」で一発レッドカードを受けた。

 古橋のスピードからすると、確かに決定機に持ち込めていたかもしれない。ただ距離はまだあり、チアゴ・マルチンスの足がつつく形になり、そこまで悪質なファウルをしていたとは言えない感じだが……。この判定がDAZNの「Jリーグジャッジリプレイ」で取り上げられ、議論と検証が行われた。

 まず「ドグソ」を見極めるのは、次の4つの要素からなる。

・反則した地点とゴールの距離
・プレーの方向(ゴールに向かっているか)
・守備側競技者の位置と数
・ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性があるかどうか

 このすべてが満たされた場合のみ、決定機阻止で一発レッドカードとなる。それらを踏まえ、日本サッカー協会の上川徹トップレフェリーグループシニアマネジャーが次のように解説した。

「反則は反則です。まず、古橋選手はゴールに向かっています。次に(少し離れた位置にいる)畠中選手がこのプレーをカバーできるかどうか、という点だと厳しいと言えます」

 そして、ポイントとなるのが「ボールをコントロールできていたかどうか」。

 古橋がボールを突いた直後に、足が掛かっている。コントロールはまだできていないのでは……? と思われるが。

 しかし上川氏は次のように説明した。

「GK(朴一圭)は前へ出ようかどうか躊躇しているところがあります。これはボールがコントロールされている、という感覚があると思います。突いたボールをすぐプレーできる状況にあったと言えます」

 以上の点から、「ドグソ」にあたり一発レッドカードは妥当だという見解を示した。

 コンテンツ内でJリーグの原博実副理事長は「しかしボールに畠中は行けないかもしれないが、GKがかわされたあと、カバーできるのではないか。そのあたりはどのように判断すべきなのか」と質問。

 上川氏は「次のプレーのことを考えると、きりがありません。あくまでGKと1対1になる状況について、考えることになります」と説明した。

 一方、北海道コンサドーレ札幌対湘南ベルマーレ戦の44分、似たように鈴木武蔵が抜け出したところへフレイレが後方からスライディングタックルのファウルで止めたシーンがあった。ここでは主審が一度レッドカードに手をかけたが、イエローカードに切り替えている。

 この場面について、上川氏は「反則の悪さはあります。レッドを一度持ったことで誤解は生まれたとは思います。ただ、鈴木武蔵選手がボールに追いついた場合、まだ距離があります。また、主審が副審と連絡を取り合うなか、主審の後方にいる湘南の8番(大野和成)が、そこに追いつけるのではないかという、やりとりをして、イエローカードが出されました」

 主審の視野に入っていなかった後方から追いかけてきた大野の存在を知らせ、そういったことも加味されて、「イエロー」になった。上川氏もこの判定は妥当だと語った。

 前者とは逆に、レッドカードが出されていたかもしれないが、イエローカードで“救われた”と言える形になった。

 主審によって、判断が若干変わってきそうではある。ただハイラインで戦う横浜FMがリーグ優勝を果たすためには、終盤戦に向けて一つ「基準」が見えたことはプラス材料になるかもしれない。

[文:サカノワ編集グループ]

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