浦和戦先制点の和泉竜司が挙げた名古屋の課題。統一されない「劣勢の時、どうするか」
名古屋の和泉竜司。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
それでもボールを保持する――は理想だが……。
[J1 21節] 浦和 2-2 名古屋/2019年8月4日/埼玉スタジアム2〇〇2
名古屋グランパスが10試合勝ち星なしと苦しんでいる。浦和レッズ戦は2点先取しながらも、前半と後半のアディショナルタイムの失点で、2-2の引き分けに持ち込まれた。
試合開始2分に先制点を決めた和泉竜司は、「勝負に対するこだわりが足りなかった。誰が、というわけではなく、チーム全体に言えること。そこはもう一回、戦い方を含めて、終わらせ方、入り方、もう一回やらないといけないと思います」と振り返った。
和泉と前田直輝がゴールを決めて、さらにその後も主導権を握り、ジョーらが決定機を作った。3点目を取っていれば……という声も聞かれたが、「たら」「れば」の話だ。
和泉は悔やむ。
「極論で言えば、最後も3点目を決めていれば良かった。ただ笛が鳴り続けるまでやらないといけないし、甘さがあると思うので、一人ひとりに掛かっていると思います」
前節のガンバ大阪戦でも90+2分に宇佐美貴史に決められ2-2のドローに終わっている。
今回も最後は1点を追う浦和が思い切って仕掛けてきている。G大阪戦にも言えることだが、そういった押し込まれた時に、どのように対応するのか――。その意識の共有が図れずにいる印象だった。
それでも風間流を貫きゴールに向かおうとするが、それができない時にどうするのか。そこは徹底して守り切るのか。守り切るのであれば、どのように(ブロックを敷くのか、マンマークでつくのか、相手の起点を潰すのか、中に絞って跳ね返すのか……など)終わらせるのか。
「押し込む時間が少なくなっていましたし、それに最後はアディショナルタイムだったの『守り切る』ためのプレーの選択を、本当に全員がやれたのか。そこは話していかないと……同じように繰り返しているので、しっかり修正しないといけない」
もちろん勝てずにいるため、心理的に後手に回ってしまっている印象は受ける。ただ風間監督は「我慢しながら試合を進め、自分たちでまた盛り返せるようなトレーニングをしていきたい」と、あくまで主導権を握る(握り返す)ことに主眼を置く。
もちろん、そのスタンスだからこその風間グランパスなのだが、勝ち切るため――上手くいかない時の具体的な打開策を欠いている。昨季終盤の低迷に続き、このタイミングでの10試合勝ち星なしとなれば、根本的原因が改善されていないことになる。勝利にこだわる風間スタイルも見てみたい気もするが……。
名古屋は次節の8月10日、ホームで川崎フロンターレと対戦する。
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[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI