日本で魅了したダビド・ルイスのアーセナル移籍。ランパード監督が示唆していた「要因」とは?
川崎戦で先発し、MIPにあたるヨコハマタイヤ賞も受賞していたチェルシーのダビド・ルイス。アーセナルへの移籍が決まった。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
チェルシーのファン拡大に最も貢献していただけに、驚きと衝撃は大きい。
プレシーズンマッチの『Jリーグワールドチャレンジ』と『楽天カップ』に参戦するため来日していたチェルシーFCのDFダビド・ルイスがイングランドの移籍期間最終日となる8月8日、同じロンドンを本拠地にするアーセナルFCに電撃移籍した。移籍金は800万ポンド(約10億円)と報じられている。
来日中はチェルシーのプロモーション活動を誰よりも精力的にこなしていたダビド・ルイスはバルセロナFC戦のあと、「チェルシーは常にタイトルを狙っているビッグクラブ。世界にたくさんのファンがいることも実感できた。ぜひ、さらに応援してもらいたい」と呼び掛けていた。
チームメイトとしてもともに戦ってきたフランク・ランパード新監督と結託し、二人が中心となってチェルシーを再び復権させていくはずだ、と誰もが思ってきた。先日のプレシーズンマッチ、RBザルツブルク戦でダビド・ルイスは先発し5-3で勝利に貢献(彼が74分に交代するまでは4-1とリードし、そのあと南野拓実が2ゴールを決めていた)。ただ続くボルシア・メンヒェングラードバッハとの試合(△2-2)はメンバーから外れていた。
そのあたりで何かがあったのか。
また、来日直後のランパード監督は記者会見で次のように語っていた。指揮官が選手にまず何を求めていたかが伝わってくる。
「私が求めているスタイルは、エネルギーとスピード感に溢れたプレーです。ボールを失ったらすぐ取り返すことを求め、奪い返せば素早く前へ展開する。勝つために試合をするということ。そのうえで、選手たちが楽しくプレーできるようにするのが、私の仕事になります」
そのように示していた新指揮官の基本的な方針とダビド・ルイスの間で、何かしら擦れ違いや衝突などが起きたのか――。
そしてバルセロナ戦後にランパード監督は「プレシーズンは時間との戦いでもあります」と語るなど、チーム作りにやや焦りも感じられた。
とはいえ、今季まで補強禁止処分を受けていることについて、「8月のストレスフルな時期に、チームに集中できることはポジティブに捉えたい」とも語っていた。そう考えるとやはり、守備の柱でありチームの顔であるダビド・ルイスのこのタイミングでの放出さすがに想定外だったとも捉えられる。
ダビド・ルイスは日本の2試合、最終ラインから好パスと好フィードを連発し、改めて存在感を示し、川崎戦では最も印象に残る選手に贈られるヨコハマタイヤ賞を受賞した。チェルシーのファンを一気に獲得する中心的存在だった。それだけに、ライバルチームへの移籍の驚きと衝撃は、日本でも大きなものとなっている。
[文:サカノワ編集グループ]
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