マリノスと三ツ沢で再戦。中村俊輔が『10秒間』熟考して語った特別な思い

三ッ沢のピッチを”堪能”した横浜FCの中村俊輔。(C)SAKANOWA

初の横浜ダービーで、横浜FCのユニフォームを着て、初先発、初のフル出場を果たす。

[天皇杯3回戦] 横浜FM 2-1 横浜FC/2018年8月14日/ニッパツ三ッ沢球技場

 ちょうど10秒間だった。

 人いきれに包まれたニッパツ三ツ沢球技場の正面ロビー。天皇杯で昨年に続き実現した「横浜ダービー」を終えて、横浜FCでチームメイトととなった三浦知良、そして中村俊輔というJリーグを支えてきた”2大スター”が、それぞれ大勢のメディアの前で試合を振り返った。

 そのなかで、中村はまず試合について「前半の出来が良くなかったことがちょっと響いてしまった(前半0-2)。ダービーでしたから、勝ちたかったです」と悔しそうに語った。

 チケットは売り切れ、観客は満員の1万2000人越え。中村にとっても、思い出の詰まった三ツ沢のピッチだ。最高のシチュエーションのなかで行われた古巣の横浜FMとの一戦での、新天地に移っての初のフル出場。

 その感想を求められた中村は、「うーん……」「なんだろうなあ」としばらくの間、言葉を探した。その沈黙はちょうど10秒間も続いた。

 そしてプロ23年目、6月で41歳になった中村は言った。

「今までいっぱい試合をしてきましたけれど、記憶に残る、印象深い試合になったのかなと思います」

 今回は横浜FCの「46番」のユニフォームを着て対戦したが、「やっぱりマリノスとやる時はいつでもそうです」と、短い言葉に古巣への特別な思いを込めた。

 試合のほうは、横浜FMに押し込まれながらも、劣勢を跳ね返してチャンスを作り出した。新天地で初先発、フル出場を果たした中村はまずまずの感触を掴んでいた。

「ボランチの位置でしたけれど、特長を消さず、チームの戦術がしっかりあるので、それを守りながら自分の良さを出そうとしてきました。これまでなかなか短い時間でできずにいました(これまでリーグ2試合は試合終盤の途中出場)。ただ、今日の途中からできてきた。そういう苦悩を含めて、今は楽しんでいます」

 52歳のカズこと三浦知良とは2000年の日本代表として臨んだジャマイカ代表戦以来の”共演”となった。実に19年ぶりだ。その間、現役でプレーを続けていること自体が素晴らしい。

「『後ろからどんどん指示を出していいように使ってくれ』と言われていました。前半、カズさんいいチャンスありましたよね。決めてほしかったです」

 そういって中村は笑った。

「ただ、マリノスのボールの回し方が上手いので、なかなか僕自身も、他の選手も、ボールを追いかける時間が長くなってしまい、カズさんにいいボールを渡せなかったので、そこはちょっと残念でした。緊張しましたよ。若い選手よりもカズさんのすごさを自分のほうが分かっていたので、下手なプレーはできないなと思っていました」

 中村にとっては自分よりも年上の選手とプレーするということも、新鮮な機会になった。試行錯誤を続けながらも、横浜FCで中村俊輔が”カラー”を出し始めている。

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[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI

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