天野純が敗戦の中に見た光明。「『負けて学ぶ』ではないけど、ポジティブに捉えている」
新生横浜FMの攻撃を牽引する天野(14番)(1月1日の天皇杯より)。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
リーグ柏戦のあと、厳しい表情だったが、決して悲観はしていなかった。
新生横浜F・マリノスの攻撃をリードするMF天野純は、今季これまでの公式戦全3試合に出場している。87分から”クローザー”として投入されたルヴァンカップのFC東京戦ではしっかり1-0の勝利を収めることに成功。次なる目標は、3月10日のホーム鳥栖戦でのリーグ戦初勝利だ。
0-2で敗れた2節・柏戦のあと、天野はいくつかの課題を挙げながら、「でも、負けて学ぶ、じゃないけど、そういったことが分かったことが収穫」と決して悲観していなかった。
他の横浜FMの選手が語っていたように、天野もまた”ラスト3分の1”の崩しのパターンやプレー精度の重要性を改めて認識したという。「このスタイルは先制点がゲームを大きく左右するのかなと感じました」と、いかに無失点で切り抜けるかもポイントに挙げた。
そして彼は攻撃面で一つ大きな課題を感じ取っていた。
「押し込む時間が割と長いなか、クサビのパスが通ったところで、僕もいかに違いを作るのか。引かれた相手に対しそこが重要であり、僕の課題だとよく分かりました。そういう収穫が出たので、負けて学ぶ、ではないですけどポジティブに捉えたいです」
どのように一瞬のタイミングで周囲と呼吸を合わせて切り崩すのか。天野はそこを重要なポイントに挙げていた。
「新しいことにチャレンジして、まだ始めたばかり。僕らのサッカーが(他チームとは)違うというのは確実に伝わっていると思います。新しいものを作り上げていく段階では、こうしたこと(負け)も起きるので、焦らず……でも一方で結果を出さなければ僕らの言っていることが本当なのかと疑問も沸くと思うので、勝って勢いに乗っていきたいです」
実際、天野の小気味いい動きからの切れ込みや思い切ったアタックは柏に脅威を与えていた。ゴールまであと半歩、紙一重――。もちろん、そこが最も困難を極めるミッションである。
ただ、彼はその苦悩できることを前向きに捉える。その微妙な呼吸が合い、天野から爽やかな満面の笑みがこぼれる日は、きっと近づいている。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI