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【名古屋-横浜】宮原和也の「PK+退場」が「警告」に軽減できた可能性も。コンマ数秒の猶予を与えた飯田主審の判断

名古屋の宮原和也。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

開始早々のPKは直接FKが妥当だったかもしれないが…。

[J1 24節] 名古屋 1-5 横浜FM/2019年8月24日/パロマ瑞穂スタジアム

 名古屋グランパス対横浜F・マリノスの一戦、横浜FMが2-0とリードして迎えた58分、名古屋のDF宮原和也が自陣ゴール前で仲川輝人へのファウルにより、一発レッドカードで退場処分を受けた。試合の趨勢に大きく影響を与えた判定。このジャッジは果たして正しかったのか? 『DAZN』のコンテンツ「Jリーグジャッジリプレイ」で、日本サッカー協会(JFA)審判委員会のレイモンド・オリバー副委員長が詳しく解説をした。

 このシーン、宮原はペナルティエリア内で仲川のユニフォームを背中から引っ張っている。そこで仲川も少しバランスを崩している。オリバー氏は、「この時点でファウルが確定しています」と説明。ボールへ向かったファウルではないため、決定機阻止によるレッドカードという判断も正しいという見解を示した。

 そのあと続行したプレーで、宮原が仲川の胸のユニフォームを少し引っ張っているが、ここは「関係ない」として、最初の背中を引っ張った時点で「PK+レッドカード」が確定していたということだ。

 では、なぜ、飯田淳平主審は、宮原がファウルをした時点で笛を吹かなかったのか? それには理由があった。

「そのあと仲川選手がプレーを続けて、ゴールを決めていた場合、ファウルであることに変わりはありませんが、レッドカードではなくイエロカードに変わっていました」

 つまり得点が決まっていれば、”決定機阻止”にはあたらなくなり、宮原はイエローカードで済んでいたというのだ。飯田主審はそのコンマ数秒の猶予を与えたのだ。すぐ笛を吹きたくなるシチュエーションだが、そのように時間を与える判断は簡単にはできないだけに、オリバー氏も「素晴らしいジャッジでした」と評価していた。

 また、決定機を阻止(ドグソ=DOGSO)した際、「PK+レッドカード+出場停止」の『三重罰』が、「PK+イエローカード」に低減されるのは「あくまでもボールに対するプレーをしていることが条件」とオリバー氏は強調していた。今回、宮原はボールに対するスライディングタックルがファウルになったわけではなく、相手選手の背中を引っ張っているため「三重罰」の対象となった。例えば、ゴールに向かっていたシュートを手で止めた場合でも『三重罰』案件に該当する。

 一方、開始1分、同じように裏のスペースに抜け出た仲川が吉田豊に背中を押され、さらに足も掛かっていたようになり、PKが与えられたシーンについても検証した。こちらはスローVTRで見ると、ペナルティエリアの少し外でファウルがあったように見えて、オリバー氏は「PKではなく直接フリーキックが妥当だったと言えそうです」と説明した。ただし、ペナルティエリアの外であった(あるいは中だった)と完全に分かる映像はないとして、最も近くで見ていた主審の判定にも理解を示していた。

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[文:サカノワ編集グループ]

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