×

ハーツ移籍の食野亮太郎がマンCに”復帰”するための超難関の条件

ハーツでのプレーが決定した食野亮太郎(40番)。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

大ブレイクでの日本代表定着、現実的には欧州6大リーグ狙いか。

 ガンバ大阪からマンチェスター・シティに移籍した食野亮太郎が、スコットランド1部のハート・オブ・ミドロシアンFCに1年の期限付き移籍を果たした。

 ハーツは1874年に設立され、これまでリーグ5度の優勝を誇る古豪。リーグ戦は2年連続6位だが、昨季はスコティッシュカップとリーグカップ、いずれも決勝進出を果たした(準優勝)。

 食野にとっては、しっかり地に足をつけて戦える環境を手にできたと言える。”メッシーノ”のキレのあるドリブルで、スコットランドのファンの心を掴みたい。

 一方、そもそも食野が労働条件を満たしていなかったマンチェスター・シティ”復帰”を果たすためには、今後、非常に難しい条件をクリアしなければならない。

 外国籍選手がイギリスで労働許可証を取得するための条件は以下の通り。今回のハーツ入りは有望な若手に認められる「特例」が適用された。しかし、外国籍選手がプレミアリーグでプレーするためには、実績が不可欠である。

 一発で条件がクリアできるのが、日本代表での出場歴だ。

 21歳以下の食野であれば、1年間、日本代表として75パーセント以上の国際Aマッチに出場できればOK(22歳以上になると2年間が対象に。また、FIFAランキング30位以内であれば60パーセント以上など順位によって変わる/日本は33位)。

 日本代表の森保一監督も食野のことはリストアップしていると言われるが、やはりA代表のチャンスを掴むためにも、まずハーツで実績を積むことが必須になる。

 この条件を満たせない場合、「ポイント制」の条件を満たさなければならない。

 移籍金がプレミアリーグ基準の75パーセント以上(3ポイント)、または50パーセント以上(2ポイント)。選手のサラリーがプレミアリーグ基準の75パーセント(3ポイント)、または50パーセント以上(2ポイント)。

 欧州6大リーグあるいはFIFAランキング20位以内の南米のチームで稼働可能な30パーセント以上プレーしている(1ポイント)。UEFAチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグ、コパ・リベルタドーレスで稼働可能な30パーセント以上プレーしている(1ポイント)。

 さらに他にも、アジアカップ、アフリカネーションズカップ準決勝以上(1ポイント)、過去1年以内の大陸別選手権の予選ラウンド以上の稼働可能な30パーセント以上に出場(1ポイント)、6大リーグやFIFAランキング20位内の南米クラブの2部リーグで稼働可能な30パーセント以上でプレーしている(1ポイント)など、「例外」が設定されている。

 このうち5ポイントを得ることが条件になる。つまり自国出身の若手選手の成長を保護し、世界的に実力が認められてきた選手を迎え入れる、という立場をより明確にしている。

 浅野拓磨(アーセナル→シュトゥットガルトなどを経て、パルチザン完全移籍)、井手口陽介(リーズ→レオネッサなど経て、G大阪完全移籍)、板倉滉(マン・C→FCフローニンゲン)と、近年、プレミアリーグの名門に移籍したものの、”本家”に復帰できずにいるのは、こうした難関条件をクリアできずにいるためだ。

 マン・Cにとっては、日本代表歴のない食野の獲得は、まさに未来への投資である。

 もちろん欧州1部リーグに挑戦できることは、選ばれし者であることに間違いない。

 まずはハーツでブレイクすることが条件になる。その先、日本代表定着、あるいは6大リーグへの移籍&活躍が、マンチェスター・C復帰への”近道”になると言える。ただし、このポイントが全てではない、という”超例外”も設定されている。

 いずれにせよ、食野がその足で”結果”を残すことで、未来は切り開ける。2005年から2009年までセルティックFCでプレーした中村俊輔が脚光を浴びたスコットランドの地で、飛躍を遂げたい。

関連記事:デ・ブライネ、スターリング…横浜の畠中槙之輔が語った「間合い」の怖さと重要性

[文:サカノワ編集グループ]

 

Ads

Ads