好調神戸は何が変わった?西大伍「人が変わった」
神戸の西大伍。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
青空ミーティングよりも大切なのは――。
[J1 27節] 川崎 1-2 神戸/2019年9月28日/等々力陸上競技場
ヴィッセル神戸が3連敗など5試合負けなしと低迷していた時期から一転、8月17日の23節・浦和レッズ戦での勝利(〇3-0)を皮切りに、最近リーグ4勝1敗、さらに天皇杯もベスト8進出を果たすなど好調だ。
27節のJ1リーグ2連覇中の川崎フロンターレ戦では、ダビド・ビジャ、アンドレス・イニエスタ、トーマス・フェルマーレンら助っ人陣と日本人選手がしっかり噛み合い快勝を収めた。
いったい神戸の何が変わったのか?
今季鹿島アントラーズから加入し、チームの浮き沈みをピッチ上で直に感じてきた西大伍は「一番、何が変わったのか?」という問いに一言で答えた。
「人が変わりましたね」
CBフェルメーレン、GK飯倉大樹、そして左SB酒井高徳が、この夏に加わり、レギュラーポジションを掴んだ。さらに藤本憲明ら控えも充実。神戸ユース出身の3年目、安井拓也も試合に絡んできた。
西が変化についてより具体的に語る。
「全体のレベルとして、ある程度できる選手がいないとキツイですからね。やっていることは、僕自身としては、負けていた時から基本的には変わっていません。僕が動くタイミング、僕がパスを出せるタイミングを、周りが分かってくれるようになってきたところはあります」
そして、それが西に限ったことではなく、チームとして感じ合えてきたと言う。
「それが僕だけではなくてみんな、他の選手同士の関係もそうです。あまりコミュニケーションで言葉が分からなくても、共通の意識を持てています。(感覚的なところ?)そういうのを求めてここに来たこともあります。よく負けているチームは、青空ミーティングみたいのをするけれど、ああいったことをしなくても、ある程度レベルの高い選手はやらなければいけないことが、本当は分かっているはずなんです」
チームとして手応えを得られた。その分岐点に挙げたのが、先述の浦和戦だ。
「あそこはデカかった。ボールを持ちながらのサッカーとはいえ、ただボール持っているだけでは意味がない。そう感じていたなか、得点につなげていけた。浦和戦で自信を掴めたと思います。勝てない時からやろうとしてきたことが、選手が変わったこともありますし、だんだん上がってきたって感じです。(キッカケは)一つではないです」
上手くいかない時期もあった。むしろそれが長すぎた。そこから現在につながってきている。
とりわけパワーとボール奪取力のある酒井が左に入ったことで、テクニックや広い視野(俯瞰力)など逆サイドにいる西の特長がより生きるようになったと感じる。そしてセンターバックはフェルマーレンとダンクレーが神戸の門番としてどっしり構える。さらに後方には飯倉のキックという展開力もある。
歯車が噛み合い、ギアを軽快に上げている。果たして神戸はこのまま加速して、シーズン最後まで突き抜けていけるか。そして西のコメントも面白くなってきた。
【インタビュー】西大伍/鹿島「SBを続けたのはW杯に出たかったから」
[取材・文:塚越 始]