【横浜FM-FC東京】大一番でGK朴が一発退場。ドグソは妥当?厳しすぎる?
横浜FMのGK朴一圭。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
永井謙佑の俊足へのチャージ。「4条件」に照らし合わせると正しい? 微妙?
[J1 34節] 横浜FM 3-0 FC東京/2019年12月7日/日産スタジアム
J1リーグ最終34節の横浜F・マリノス対FC東京戦、横浜FMのGK朴一圭が永井謙佑へのファウルで67分に一度イエローカードを提示されたもののレッドカードに変更されて、一発退場処分となった。今回はVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は採用されていないが、どのような判定が下されたのか。
60分過ぎだった。FC東京のロングフィードを横浜FMのDFチアゴ・マルチンスがヘッドでGK朴にバックパスする。すると、そのやや勢いの弱いボールへ快足を飛ばす永井がジャンプして先にボールへ触れることに成功する。そして、飛び上がっている永井の足に、ボールを蹴ってクリアしようとしていた朴の足が入る。
そのあと永井は一旦ボールを追おうとしたが、その場で転倒する。
最初は朴にイエローカードが提示された。しかし副審に呼ばれて確認し合った木村博之主審が、朴へのイエローカードを取り消し、代わってレッドカードを提示し、一発退場処分を下した。
その後、横浜FMの選手たちが猛抗議したものの、判定が覆ることはなかった。
対象のプレーが「決定機阻止 = DOGSO [ ドグソ ](Denying Obviously Goal Scoring Opportunityの頭文字) 」により、レッドカードに切り替わったと見られる。
ただ、横浜FMの選手やスタッフたち(FC東京の選手も?)が驚いたのも確かで、「DOGSO」の条件が揃っていたかどうかというと、そうとも言えそうだが、やや微妙でもあった。
「DOGSO」が成立するのは、下記4条件のすべて揃った時だ。
攻撃側の選手が――
1)ファウルがなかった場合、ボールをコントロールできていたか
2)ゴールに向かっているか(プレーの方向)
3)ゴールとの距離
4)守備側の選手の位置と人数(GKまで妨げる選手がいないか)
永井の場合、2)3)は妥当だといえる。4)もチアゴ・マルチンスが持ち味のスピードを生かしてカバーリングに向かっている。ただ、こちらは間に合わない、と言われれば、確かにそうとも受け止められる。
ただ、1)に関しては、「永井がボールをコントロールしていた」と言えるかどうか。VTRで見ると、朴が永井を蹴り上げる形になっていたのは事実である。永井がそれによりバランスを失ったようにも見える。一方、VTRで見ると、永井がボールに追いつけないと判断し、一度、ボールを追う姿勢を見せながら『転ぶ』選択をしているようにも見える。もちろんVARがないなかで、主審がそれを一瞬で判断するのは難しい。永井が先にボールに触れた、その俊足はまず賞賛した場面ではある。
2020シーズンからはJ1全試合でVARが導入される。今回、もしもVARが発動したり、オン・フィールド・レビュー( On-Field Review )の対象になったいたりしたら、おそらく、ホームのサポーターも、もう少し納得はしていたはず。そうであれば、判定は覆っていたのか。あるいはそのままだったのか。
VARの前倒し採用が決定したシーズンを物語るように、2019年最後の大一番でも”疑惑の判定”が起きた。しかし、横浜FMは数的不利から、さらに遠藤渓太のゴールで1点を追加。FC東京3-0の快勝を収めて、王者にふさわしい圧倒的な強さを見せた。
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[文:サカノワ編集グループ]