「やはり左足はスーパー」柏MF大谷秀和が明かす『ポドルスキ攻略法』
「雰囲気があった」と、大谷はポドルスキに神経を使ったという。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
逆に浮かび上がる神戸のポルディ活用法。
[J1 5節] 柏 2-1 神戸/2018年3月30日/三協フロンテア柏スタジアム
柏レイソルのMF大谷秀和は、ヴィッセル神戸戦でボランチとしてフル出場。ルーカス・ポドルスキ、田中順也、ハーフナー・マイクとそれぞれ個の強さを持つ神戸の前線にいい形でパスを入れさせず、1失点に抑え勝点3をもたらした。
トップ下に入った前半のポドルスキは、そこまで運動量がなく、ゴール前に顔を出す回数が限られ脅威を与えられなかった。それでも前半途中から前線に入ると、後半アディショナルタイムのアクロバットな左足ボレーが柏ゴールを襲う(GK中村航輔がセーブ)など”一発”の怖さを改めて示した。
大谷はポドルスキのプレーや存在について、次のように語っていた。
「(柏の対策として)どこにいても、近くの選手が意識するようにしていました。やはりボールを持てばスーパー。あの左足の質の高さは別格で、ゴール前に入ってミドルを打たれそうな場面ではシン(中谷進之介)が体を寄せて当てたけど、ゴールに向かって足を振るときはものすごく警戒していました」
柏は常にポドルスキがボールを持てば素早く寄せ、左足のサイドを切りながら対応していた。前半については「ポドルスキに加え、藤田くんや三田くんも下がって、自分の背後に人が入られることがなかったので怖さはあまり感じませんでした」と言う。ただ、「(神戸が)追いかけなければいけない展開になったのもあったと思いますが」という後半は、元ドイツ代表ストライカーが大槻周平と2トップを組み攻撃に専念。「シュートを打てる位置にいられると、雰囲気もあるし、ボールを持ったときに一人が行くことは徹底させていた。それでも最後(アクロバットなボレーシュート)のように強引にシュートに持っていけるのは、スーパーな選手だと改めて感じました」と、対応に神経を使ったことを明かした。
逆に言えば、その言葉からは神戸がいかにポドルスキを生かすべきかが見えてくる。背番号10の左足のショットから逆算した「ポドルディシフト」を敷くことができるか――。
もちろん、そこまでして周囲の個を犠牲にしたくないという吉田孝行監督のチーム作りも感じられる。ただ、現状では神戸の最大の武器であるはずのポドルスキがまず誰よりも個を犠牲にして、それによってポドルスキとチーム自体の魅力が半減してしまっている。悪循環に陥っている印象だ。
7月28日には神戸のホームでリーグ再戦が組まれている。そこでは大谷をきりきり舞いさせるぐらいポドルスキが躍動する活用法を見せ付けたい。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI