「あの存在感を持てるように」谷口彰悟が語った中澤佑二への憧憬
今年5年目を迎える川崎の谷口。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
横浜FM戦でマークを外し同点に。川崎の今季リーグ戦の失点は全てセットプレーから。
[J1 6節] 横浜FM 1-1 川崎/2018年4月8日/日産スタジアム
58分に先制点を奪った3分後、CKから中澤佑二にジャンプヘッドで合わせられると、ボールはゴール前に詰めていたエウシーニョに当たって川崎のゴールネットを揺らす。記録は中澤のゴール。あっという間に同点に追い付かれてしまった。
中澤のマーク役はチームの中でエドゥアルド・ネットに続いて高さのある(183センチ)CB谷口彰悟だった。川崎が喫した今季リーグ戦の失点はすべてセットプレーから。十分警戒し、周りとも声を掛け合っていただけにまさに痛恨だった。
「自分のミスです。キッカーが蹴るのと一瞬タイミングが合わず、ボールを見ようと思ったときにはそこまで来ていて、そういった対応でミスをしました」
谷口はそう悔やんだ。
「いいゲームをしていて、チャンスを決め切れずにいたなかで先制できて、そのあとにまたもセットプレーでやられてしまうのは、チームとしても、個人としても、悔しいです……。リーグ戦ではセットプレーでしか失点していないですから。そういうところでみんなが集中力を高く保っていたにもかかわらず、自分のマークの選手に決められてしまい、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」
中澤との駆け引きうんぬんの前に、まず谷口は自身の準備不足を認めていた。防げていたゴールと言えただけに、悔しさは募る。
とはいえ一方で、同じポジションである今年40歳になった”ボンバー”と対戦できたことは、谷口にとっても大いなる刺激になった。谷口は中澤について次のように語っていた。
「やはり日本を代表するセンターバックですし、タイプは少し異なるとは思いますけれど、あれぐらいの存在感を持てるようになっていかないといけない。そう思います」
谷口はセンターバックを主戦場に、ボランチやサイドバックも遜色なくこなす守備のスペシャリスト。プレースタイルは確かに中澤とは異なる。それでも、この日はキャプテンマークをつけるなど、最後尾からチームを支えて鼓舞するリーダーシップを備える点などは重なる。
「(ゲームキャプテンを務めることで)ここ最近の試合を見返して、前へ向かっていく推進力をもっと出していこうと、チームメイトに話して、『立ち上がりから強気にいくよ』という空気を作れました。チャンスを作れていたことは、決してネガティブに考えずに受け止めたいです」
プロ5年目を迎える屈強なナンバー5は、川崎に欠かすことのできない「柱」となった。ホーム等々力での横浜FMとの”リターンマッチ”は8月5日の20節。そこで中澤を超える存在感を見せ付けて、試合にも勝って、しっかり決着を付けたい。
取材・文:塚越始