【Jリーグ】2021年のクラブ経営情報開示、債務超過10クラブで前年と変わらず。赤字は20クラブに減少
写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
入場料は19年と比較し、53パーセントまでしか戻らず。
Jリーグは5月26日、2021シーズンのクラブ経営情報を開示した。債務超過のクラブは前年と変わらず10クラブ、赤字のクラブは前年比14クラブ減の20クラブだった。ただしコロナ禍の特例措置で、2023年まで猶予期間を設けているため、クラブライセンス制度の財務基準には抵触しない。
今回は3月決算である柏、湘南、磐田の3クラブを除いた54クラブについて発表。営業収益は54クラブ合計1147億円で、前年比115パーセントの成長率だった。コロナ禍の支援などもあり、45クラブが増収となっている。
一方、入場料収入は前年比136パーセントだが、コロナ前の19年と比べると53パーセントにとどまり、まだ回復には至っていない。
営業費用は54クラブ合計1204億円で、Jリーグは「営業収益と同様にコロナ前の規模に戻りつつある(19年度対比97パーセント、20年度対比105パーセント)」と見る。チーム人件費は583億円で、「コロナ禍においても微増で推移している(19年度対比100パーセント、20年度対比101パーセント)」。
つまり2019シーズンと比較すると、入場料はほぼ半減。一方、スポンサー費は微減であるものの(トップだった神戸の大幅減額が影響)、Jリーグ配分金、移籍金やコロナ禍の補助など「その他」の増額により営業規模を維持できていると言える。
一方、単年度赤字クラブは20クラブで、20年度の34クラブから減った。一方、債務超過クラブは10クラブで、前年と変わらず。ただし「現時点で経営の継続(資金繰り)が困難に陥っているクラブは存在しない」。
債務超過のクラブは、仙台、名古屋、C大阪、福岡、鳥栖、東京V、山口、福島、沼津、鳥取。
赤字クラブは、札幌、仙台、FC東京、横浜FC、名古屋、C大阪、福岡、鳥栖、大分、水戸、群馬、東京V、山口、琉球、福島、沼津、岐阜、鳥取、讃岐、熊本。
現在はコロナ禍の特別措置により、赤字・債務超過ともクラブライセンスの財務基準には抵触しない。2024年までに解消すれば問題ないが、2022年から3年連続で赤字が続いた場合はペナルティの対象になり得る(詳細は今度リーグ内で改めて話し合いが行われる)。
「その他」の収益が、J1では前年比72億円、Jリーグ全体で71億9500万円の大幅増額となっている。そこには、賞金、サプライヤーからの費用、ファンクラブ会費、そしてコロナ禍の「クラブ支援」が含まれる。決してコロナ禍で新たな収益先が生まれたわけではないということだ。
Jリーグは2021年の経営状況について、「全体としてコロナ前の規模に戻りつつある(19年度対比93パーセント)」と評価している。しかし内実は、コロナ禍の民間・企業・自治体のサポートや補助に支えられていた面が大きい。根底にある入場料収入が持ち直さないと、今後は堅調であるスポンサー費にも影響が及びかねない。
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