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【浦和L×新潟L】安藤梢が引き出す若手の力。”門下生”猶本はあと3戦でドイツへ

ゴールを決めて歓喜する浦和レディースの(左から)加藤、安藤、菅原、猶本。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

新潟レディース戦は3-3のドロー。決勝進出が遠のく…。

[なでしこリーグC]浦和L 3-3 新潟L/2018年6月17日/浦和駒場スタジアム

 国内女子主要タイトルの一つ、なでしこリーグカップ1部は早くも後半戦に突入した。A、B各グループの1位が決勝にコマを進めるという非常に分かりやすくシンプルではあるが”狭き門”。その決勝を目指し、グループリーグから激しい戦いが繰り広げられている。

 浦和レッズレディース(Aグループ2位)は6月17日、浦和駒場スタジアムでアルビレックス新潟レディース(3位)と対戦し、目まぐるしいシーソーゲームを演じたものの3-3と引き分けた。

 開始7分、浦和は菅澤優衣香のGKの頭上をフワリと越えるループで先制ゴールを決める。このゴールをアシストしたのが安藤梢だった。相手が寄せ切る直前の絶妙なタイミングで放ったラストパスは絶妙。安藤らしい受け手のことをも考えたパスだった。

 ドイツで7年半に渡ってプレーし、昨年6月に古巣の浦和へ復帰。この1年で安藤が浦和に与えた影響力は計り知れない。海外の一線級で活躍し続けてきたとあって、若手が多いチームの中で安藤の一挙手一投足すべてが”お手本”となっている。加えてメンタルにおいてもしかり。ピッチ上での存在感はやはり違っていた。

 ボールキープ力が高いことに加え、判断力も素早く簡単にパスをさばくことも。新潟の守備陣にとって、安藤は実に厄介だったに違いない。

「調子が良かった」と、安藤は言う。

 彼女の周りではボールも人もよく動いていた。29分には波状攻撃から幾重にもシュートを浴びせ、最後は安藤の目の前にボールが転がる。

「決めなきゃいけなかった」

 が……、安藤のシュートはブロックに合い、決定機をモノにできなかった。

 安藤の独特と言えるタイミングに合わせられる選手が徐々に増え、バリエーション豊かな組み立てが随所で見られるようになった。若い選手たちが自信を得るためには、「勝たないといけない」と安藤は悔やむ。いや、安藤が“勝たせなければならなかった”。

 浦和を高みへ押し上げること。それが安藤が古巣へ戻った意であり、責である。

安藤梢が周りに与える影響力は大きい。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

 浦和は2位をキープしたものの、首位の日テレ・ベレーザとの勝点7差に広がってしまった。残り3試合。決勝進出は厳しい状況に追い込まれた。

 この予選リーグの戦いをもって浦和の中枢を担ってきた猶本光がフライブルク(ドイツ)へ移籍する。リーグ再開の9月8日まで、中心選手を失う浦和は文字通り再スタートを切ることになる。

 この試合では2点のビハインドを跳ね返しただけでなく、勝ち越しを狙い続けた粘りや執念は本物だった。マイナスを数える必要はない。安藤を中心に、確かな可能性を感じさせる戦いぶりを見せた。

取材・文:早草紀子
text by Noriko HAYAKUSA

Posted by 早草紀子

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