【鹿島1-1FC東京】ディエゴのPK獲得、鄭大世氏「格好悪い」。家本氏「ノーファウルが妥当」
鹿島の関川郁万。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
関川郁万の対応の不味さも指摘、大久保嘉人氏「こけると分かっていたはず」。
[J1 14節] 鹿島 1–1 FC東京/2023年5月20日15:00/カシマサッカースタジアム
J1リーグ鹿島アントラーズとFC東京の一戦、28分にディエゴ・オリヴェイラが関川郁万に背中を押されて倒れPKを獲得した場面、果たして判定は妥当だったのか。このシーンが5月23日に更新されたDAZNのコンテンツ『Jリーグジャッジリプレイ』で取り上げられた。鄭大世氏と大久保嘉人氏が見解を語り、元国際レフェリーの家本政明氏は詳しく解説した。
25分、安部柊斗のロングキックに対し、明らかに頭を越えたものの、関川に背中を両手で押されたディエゴ・オリヴェイラが倒れる。主審は関川のファウルで、FC東京にPKを与えた(自身が決めてゴール)。関川は両手で背中を押していた。ただ強度的には低く、ディエゴは倒れてファウルを貰おうとしているシミュレーションにも見える。
鄭大世氏は「僕の意見では明らかにノーファウル」として、「(ボールが)明らかに頭を越えて『無理だな。押してくれてありがとう。ファウルどう?』という感じだったと思います」とストライカーの心情を説明。「こんなことはいくらでもあり、この状況で倒れたらストライカーは負け。格好悪いと思う、僕は。そういうタイプでした」と語った。
一方、大久保氏は「関川選手が遅れて体を入れられて一歩遅れ、ヤバイと手が出ている。ファウルだと思いました」と、自身の考えを示した。一度耐えたあと倒れているようだが、「体重が前にかかっているタイミングで押されると、いくら耐えようとしても倒れてしまうもの」と、ディエゴのシミュレーション論には首をひねった。
家本氏は競技規則で「過剰な負荷」がかかっているかどうかに重きが置かれている点を強調。その判断には、主審の主観もかかわってくると説明した。そのうえで「客観的に見て、どれぐらい、こうしたシーンで笛が吹かれているかと見ると、あまり吹かれていないと思います」とも指摘し、ノーファウルが妥当との私見を示した。
また鄭大世氏は、ディエゴ・オリヴェイラが関川(ディフェンダー)の前にいる時点で、ストライカーとしてはポジション取りの駆け引きで負けているが、そのあたりまで“点”ではなく“線”で主審が見れるかどうかもポイントに挙げた。また大久保氏は関川について、「(デェエゴが)こけると分かっていたはず」と、その“誘い”に乗ってしまったとディフェンダーとしての対応のまずさも指摘した。
VARについては、関川が明らかに手を出していて、それを主審が良いポジショニングで確認しているため介入はなし(ファウルを「見逃している」わけではないため)。
家本氏は主審の判定が決して“間違い”ではなかったとも説明。一方、フットボールの魅力を高めているか、という視点では、ディエゴの腕を広げて倒れた行為も主審の判定もプラスにはなっていないのではないかと疑問を投げ掛けた。
いずれにせよ、関川がさらに一皮むけ、一流のセンターバックになっていくためには、糧にすべきシーンでもある。今後似たような場面で、同じような対応は避けなければならない。