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「サッカーと大会価値が違う」八村塁の日本開催バスケW杯欠場、負傷などリスク拭えず。『制限付きFA』で来季NBA約25億円契約の可能性

レイカーズの八村塁。(Photo by Harry How/Getty Images)

「昨シーズンと長いプレーオフ戦を終え、これから初めてのフリーエージェンシーに備えて今後の自分のNBAキャリアを優先し考慮させていただき、このように判断いたしました」

 公益財団法人日本バスケットボール協会は6月27日、8月から開催される「FIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)2023」の男子日本代表チームで、ロサンゼルス・レイカーズの八村塁が欠場すると発表した。

 大会は8月25日 、フィリピン、日本 (沖縄)、インドネシアの3か国共催で開催される。日本のエースである八村だが、同協会は「八村選手本人、および八村選手が所属している代理人事務所のワッサーマンのエージェントの方々と鋭意協議を続けてまいりましたが、NBAにおける来季の契約、またコンディショニング等の課題を総合的に勘案したうえで本人の意向を受入れ、今夏の日本代表活動への招集を見送ることといたしました」と発表している。

 八村は「制限付きFA」として今オフ、レイカーズ残留とともに移籍する可能性もある。アメリカメディア「ブリーチャー・レポート」は7クラブが名乗りを上げ、年俸1200万ドル(約17億円)~1800万ドル(約25億8000万円)になる可能性があると報じていた。そうした一旦ほぼフリーになるデリケートな立場で、今季はハムストリングのケガで離脱した期間もあったなかプレーオフまで戦い抜いていただけに、このW杯で万が一負傷した場合のリスクはあまりに大きかった。

 SNS上では「大会そのものの価値がサッカーと違う」「バスケもサッカーのように代表を優先するのかと思っていた」「NBA>ワールドカップ」など色々な声が上がり、アメリカ発祥のメジャースポーツはまだ国内での大会が優先されている現状も改めて浮き彫りになった。

 一方、昨年のサッカーW杯、今春のワールドベースボールクラシック、来月にはサッカー女子W杯があり、その流れで自国開催のバスケW杯に向かうだけに――。やはり八村不在は、大会規模の差はあるものの、バスケとともにスポーツ界が盛り上がる起爆剤にもなる可能性があっただけに、やはり残念ではある。

 八村は同協会を通じて、次のようにコメントしている。

「このたびは今年のFIBAワールドカップを欠場する決断をさせていただきました。ワールドカップを楽しみにしていてくれていたファンの皆様にはこのようなご報告になってしまい申し訳ありません。

 とても難しい判断でしたが、昨シーズンと長いプレーオフ戦を終え、これから初めてのフリーエージェンシーに備えて今後の自分のNBAキャリアを優先し考慮させていただき、このように判断いたしました。また、来シーズンに向けてこの夏はトレーニングに集中し、体のコンディションを整えさせていただきます。 関係各所の皆様、JBAの皆様、トム・ホーバスHCには今回僕の決断を理解していただき大変感謝しています。バスケ日本代表チームメートの活躍を祈るとともに、一番のサポーターとして応援させていただきます」

◎東野智弥JBA技術委員長
「このたびの八村選手の招集見送りの決断については、自国開催のワールドカップで同世代の最高のプレーヤーたちとの競演が見られないのは残念ですが、この決断により今後八村選手個人のさらなる成長が見込めること、また、日本チームが『チーム一丸』となり、ハングリーさを前面に押し出せるチームで闘うことにつながることを信じ、その楽しみは次のステージであるパリオリンピックまで先送りします。 今回は八村選手不在となりますが、我々は戦い抜きます。ホーバスHCは、いつも逆境を退ける力を見せてくれます。私個人としても、またJBAとしても不退転の覚悟持ってホーバス HC を全力でサポートし、世界に立ち向かっていきますので、引き続き、ご声援をよろしくお願いいたします」

◎トム・ホーバスHC
「沖縄で開催されるワールドカップを、能力や存在感のある八村選手と一緒に戦えないことは非常に残念です。しかしながら、私たちは現在の代表候補選手に大きな期待を抱いており、ワールドカップにおいてアジアNo.1のチームとなってパリオリンピックの出場権を獲得するという目的を達成するために努力を続けていきます。八村選手が NBA で活躍し続け、そして来年のパリオリンピックでは一緒に戦えることを心より願っています」

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