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【浦和】疑惑のリンセンPKなし判定。VARが介入しなかった2つの理由とは?

浦和のリンセン。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

なぜ、こうした判断に? DAZNの「Jリーグジャッジリプレイ」で、元国際審判員の深野悦子氏、家本政明氏が見解を示す。

[J1 27節] 浦和 0–0 京都/2023年9月15日19:30/埼玉スタジアム

 J1リーグ27節、スコアレスドローに終わった浦和レッズ – 京都サンガF.C.戦の75分、岩尾憲のロングキックから抜け出たブライアン・リンセンがペナルティエリア内で福田心之助から背中を引き倒されてシュートをしっかり打てず。ただしVARは介入せずノーファウルの判定となって、そのままプレーが続行された。

 なぜ、VARは介入しなかったのか? こうした判断が下されたのか? このシーンが9月19日に公開されたDAZNのコンテンツ「Jリーグジャッジリプレイ」で取り上げられ、元国際審判員である深野悦子氏(オーストラリア・ニュージーランド共催のFIFA女子ワールドカップで審判インストラクターを担当)、家本政明氏がそれぞれの視点から見解を示した。

 深野氏はまず「(福田について)ファウルは両腕で押さえているものに加え足の接触もあります。どちらとも取れると思います。ホールディングは本来程度は関係ないのですが、そんなに影響がなかったので取らない、ということはありますが、今回は確実に影響を及ぼしています」と説明。そしてファウルによりPKを与えるとともに、DOGSO(決定機阻止)でレッドカードかイエローカードが提示されるのが妥当ではないかと見解を示した。

 またVARが介入しなかった理由について、深野氏は二つの可能性を上げた。リンセンがそのあと態勢を整えてシュートを打っているので、アドバンテージにより「利益を得た」と判断されたのではないか。また一方、VARと主審が交信した際、福田の腕と足による接触は見えていて、そのうえで主審が「ファウルを取らない」と判断すれば、VARは介入できないとも語った。

 一方、正しい判定として、PKを与えるとともに「DOGSO+イエローカード、またはレッドカード」で、家本氏と深野氏で見解が分かれた。

 家本氏は「足で二度突いているのをボールにチャレンジしていると見ればイエローカードです。しかし(競技規則では)FK(PK)はより大きい影響を与えたほうを罰する、とされています。足よりも引き倒している手のほうが影響が大きく、競技規則上で正しいのは『三重罰+レッドカード』ではないでしょうか」と解説した。

 一方、深野氏はFIFA(国際サッカー連盟)の意向で、現在はできるだけ三重罰を避けたいという傾向にあるとして、次のように説明した。

「両方のファウルがあった時は、足のほうを取るように、というのが実は内々ではあります。三重罰を避け、選手をなるべくフィールドに残したいというのがあります。(今回は)イエローカードで行けなくもないが、レッドカードと言われればそれも分かります。この場合、両方あり得て、レフェリーの判断が尊重されます。FIFAからは同時のファウルであれば、足を優先するようにと言われています」 

 そのあたり、主審の意向が尊重されているとともに、あるいはグレーゾーンとも言うべきか、矛盾が出ていることも明らかになった。

 そして、「倒れたほうが得」、「頑張り損」とされることについて。家本氏は「反則があったのか、どうかがまず焦点。『頑張ったから』と言って、このファウルが消えることはありません。(その頑張りが)結びついたかどうかは、あくまでもセカンドオプション。反則があったのかどうかが重要なポイントです」と強調した。

 また、主審がボールを追っていることで、岩尾のフィードからの展開を追い切れなかった点など、主審のポジショニングなども課題に挙げられている。

 このシーンについては、浦和のマチェイ・スコルジャ監督が試合後の記者会見で「75分のブライアン・リンセンのペナルティエリア内での出来事ですが、あのプレーがPKでなければ、私はどういったプレーがPKになるのかが分かりません。ピッチに4人、VAR2人とトータル6人の審判がいて、あそこでジャッジできないという状況は私には少し理解し難いです」と語り、物議を醸していた。

 また、小泉佳穂が試合後、「ゲームプランとしてはハマっていればよかったので、1本決まっていれば……。あとはPKではないのかなとは思う場面はありました」として、次のように語り話題を集めた。

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「スーパーカップの時にあったシチュエーションと似ていました。このあと多分、Jリーグジャッジリプレイで振り返ると思うので、それを見てみます。自分もルールのプロではないので待ちたいです。(ジャッジリプレイは、よく見る?)自分たちの試合で疑問に思ったプレーがあった時は見るようにしています」

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