広島の城福監督が明かしたPKキッカー交代の真相
広島の城福浩監督(右は札幌のペトロヴィッチ監督。今年2月のプレスカンファレンスにて)(C)SAKANOWA
「パトは蹴りたそうにしていたが…」
[J1 19節] 横浜FM 1-4 広島/2018年8月2日/ニッパツ三ツ沢球技場
最近リーグ2試合勝ち星のなかった首位サンフレッチェ広島が、横浜FMに4-1と快勝を収めて、勝点3を積み上げた。通算14勝2分3敗の勝点44で、2位のFC東京とは勝点7差。
この試合で話題を集めているのが、前半終了間際のPKによる先制点の場面だ。
まず主将の青山敏弘がキッカーを務めたものの、GK飯倉大樹にセーブされる。しかし飯倉がゴールラインより前に出ていたとして、やり直しに。すると、キッカーがパトリックに交代。J1最多得点を決めているエースが今度は冷静に決めて、広島が先制に成功した。
PKのキッカーが交代するのは極めて珍しい例だ。なぜ、代わったのか? 城福監督は次のように説明した。
「(PKが宣告されたあと)パト(パトリック)が蹴りたそうな顔をしていたけれど、『青山で』と(ベンチから)言ったんです」
最初はベンチからの指示で、青山に蹴るように伝えた。ただ、やり直しが決まったときには、すでにパトリックがボールを持っていた。
「昨日のPK練習で、青山が失敗して、パトが決めていました。だから、彼がボールを持って(ペナルティマークに)置きにいったときは、もう文句はなく、それでいけと。最初は『青山で』と言っていて、それはどのチームとも同じく決まっていることです。(2本目も)青山と指示しましたが、ああゆうことが起きたあとに、もうパトがボールを持っていたので、『そのまま行け』と言いました」
ゴールラインから前に出ていたとはいえ飯倉に完璧に止められ、青山が少なからずショックを受けているときに……パトリックはボールを手に取り絶対に決めると主張。結果的にビオラの39番はPKを含めこの日2ゴールを決め、J1得点ランキング首位を独走する14得点まで伸ばした。
前節の浦和レッズ戦での4失点敗戦を払拭する勝利となったが、指揮官は「次勝たなければ、この勝利も意味がない」と、8月5日にホームで迎える湘南ベルマーレ戦へ、さっそく照準を切り替えていた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI