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疑惑のシーン『誤審』ではなく、関根のオフサイド。元日本代表の解説と実況が『誤報』か│パリ五輪 男子サッカー 日本vsスペイン

パリ五輪、サッカー日本代表はスペインに敗れてベスト8で姿を消した。写真:早草紀子(C)Noriko HAYAKUSA

山田の前のプレーをオフサイドディレイで流す。中継では一方的に決め付けていたが…。

[パリ五輪 男子サッカー 準々決勝] 日本代表 0–3 スペイン代表/2024年8月2日24:00(現地17:00)/スタッド・ドゥ・リヨン

 パリ・オリンピックの男子サッカー準々決勝、パリ五輪日本代表(U-23日本代表)は0-3でスペイン代表に敗れて、準決勝進出を逃した。日本はベスト8での敗退が決まり、56年ぶりのメダル獲得はならなかった。

 この試合、日本が0-1とリードされた27分、右サイドバックの関根大輝からサイドを駆け上がった山田楓喜にパスが出されると、副審の旗は上がっていなかったものの、モーリタニアのベイダ・ダフネ主審が笛を吹き、日本のオフサイドのファウルを取る場面があった。

 このあとVTRが流されたが、山田は明らかに「オンサイド」であった。

 なぜ、副審の旗が上がらなかったにも関わらず、オフサイドの反則に!? このシーンはSNSを通じて、世界中でも話題になっている。

 しかし、このシーンを検証してみると、決して『誤審』ではなかったようなのだ。

 26分6秒、細谷真大がまず右サイドバックの関根にパスを出している。スペインのDFもここで手を挙げているが、この時点で関根が「オフサイド」だった。

 しかし副審は旗を上げず、オフサイドディレイでプレーを流した。主審と副審はその情報を共有していたと見られる。

 ところが、その関根を起点としたパスから山田が飛び出し、ビッグチャンスになりかけた。そのためダフネ主審はプレーを遡って、関根のオフサイドの反則を取ったのだ。

 VTRはその細谷のパスシーンから映し出していたが、「関根→山田」のパスを切り取ったため、世界中に「誤審」疑惑として発信されてしまった。

 また『Eテレ』の解説を務めた元サッカー日本代表DFの森岡隆三さんは「いやいやいや、オフサイドディレイもありますからね」と解説。実況も副審は旗を上げていなかったと、オフサイドではないはずだと断定的に語っていた。

 改めて確認すると、試合は関根がパスを受けた地点からプレーが再開されている。

 あの画像を見せられれば、確かに誤審と受け止めてしまう。ただ、むしろそのような“決めつけ”は、『誤報』であった可能性が高い(※誤審の可能性を報じた記事は掲載欄から外します)。

関連記事>>【パリ五輪 男子サッカー】エース細谷真大が幻のスーパーゴール。U-23日本代表、スペインと激闘│PHOTOギャラリー

 ダフネ主審を批判する声が相次いでいる。しかし、このままプレー続行していた場合、さらなる混乱が生じていたことも考えられる。副審を含め、むしろ”ナイスジャッジ”だったとも言えた判断だった。

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