【浦和】スコルジャ監督”再登板”の歴史を打破できるか。Jリーグでの最近の好例は…
浦和のスコルジャ監督。写真:石橋俊治/(C)Toshiharu ISHIBASHI
レフ・ポズナンでは二度目の指揮でリーグ制覇。
J1リーグ浦和レッズに昨シーズン以来の復帰を果たしたマチェイ・スコルジャ監督が9月14日、アウェーでのガンバ大阪戦から指揮を執る。
1年間率いた2023シーズンは、AFCアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)2023を制し、ルヴァンカップ準優勝、リーグ4位と結果を残した。家族の事情で一旦退いたが、ペア=マティアス・ヘグモ前体制が結果を残せずにいたなか、今回約9か月ぶりとなる再登板が決まった。
一方、この間にメンバーの約半分が入れ替わった。何よりカタール・ワールドカップ(W杯)日本代表の酒井宏樹、アレクサンダー・ショルツ、伊藤敦樹、岩尾憲といった昨季の主力が退団した。
補強ポイントもバランスが良いとは言えず、成績の低迷は強化の失敗にあるのではないかという指摘もある。そうしたなか浦和のフットボール本部は監督交代を決断した。
また、Jリーグでは、監督の再登板で上手くいった例が少ない。現在では大分トリニータの片野坂知宏氏、最近では柏レイソルのネルシーニョ氏、セレッソ大阪とガンバ大阪を率いたレヴィー・クルピ氏、過去では鹿島アントラーズのトニーニョ・セレーゾ氏、FC東京の城福浩氏、原博実氏など。クラブに歴史的なタイトルなどをもたらしたレジェンド的な監督であるが、そのあとは……という過去の例は多い。
ただ昨季ヴィッセル神戸をリーグ優勝に導いた吉田孝行監督は、過去二度緊急登板し、まさに三度目の正直で結果を残した好例に挙げられる。クラブの挑戦やビジョンに理解を示しながら戦い、そのうえで、今回は自身のポリシーを大切にして、チームに揃ったタレントに合った戦い方を落とし込み(見出し)、クラブ史上初のリーグ優勝につなげた。
もちろんスコルジャ監督も、成績低迷により退いたわけではなかった。状況的には少しの活動休止を経て復帰した状況とも言える。
何よりポーランドでは、レフ・ポズナンで二度目の指揮をとった際、リーグ優勝へと導いている。その再現なるか――という期待は膨らむ。そういった再登板にまつわるJリーグの過去の例、一方で、自身の成功例について問われると、スコルジャ監督は次のように語った。
「(レフと浦和の再登板について)類似点はありますね。ただレフ・ポズナンでは、7年も空いたので、また異なる状況でした。それに二度目のレフはシーズン終了間際でした。今回のようにシーズン途中とも言えます。その時は2シーズン目でリーグ優勝できたので、その再現をできればと思います」
Jリーグでは上手くいかない例も多いが、と言われると……。
「苦難が待ち受けているということですね(笑)。もちろん対戦相手が昨年の浦和レッズを分析して対策を練ってくる可能性はあります。ただ私自身も戦術など発展させていきたいですし、池田(伸康)コーチ、前迫(雅人)コーチ、林(舞輝)コーチが、現状について多くの情報を得ています。できるだけ早くその状況を整えて、チームの力になりたい。すでに彼らのことを知っているのはポジティブな点で、最初から彼らの意見を信頼しながら聞くことができます」
クラブの指揮官として、全体の方向性をしっかりと示すことに重点を置きたいことが伝わってくる。前例は参考になるようで、ならないような……。まず好調なG大阪を相手に、スコルジャ監督がどのようなメンバーで、どのような戦い方で挑むのか。注目が集まる。