【サッカー日本代表 & Jリーグ】オシム語録「危険を冒さないサッカーは、塩とコショウのないスープになる」
イビチャ・オシム氏。 (Photo by Koichi Kamoshida/Getty Images)
初采配で結実した「当然と言える作戦」。
Jリーグのジェフユナイテッド市原・千葉、そしてサッカー日本代表(SAMURAI BLUE)を率いたイビチャ・オシム元監督(Ivica Osim)(享年80歳)が、日本サッカーに残した財産は多く、現在その薫陶を受けてきた教え子たちは指導者などで活躍している。また、今なおその機知に富む「オシム語録」は、多くの人の心を動かしている。
近年はやや画一化されつつあるように感じる日本サッカー界、監督をはじめ指導者、その思考やスタイル……。オシム氏は、本当に暇さえあればあらゆるカテゴリーのサッカー(と相撲)を見るのが好きであり、三が日の市原臨海競技場(ゼットエーオリプリスタジアム)に、アシマ夫人とともに高校サッカー選手権を現地観戦に来ていた時には衝撃を受けた。
そんなオシム氏の言葉を、振り返っていきたい。
日本で初めて指揮をとった2003年3月22日のホームでのJ1リーグ開幕1節、東京ヴェルディ戦は、開始11分に玉乃淳に先制点を決められた。しかし退場者が出た相手に対し、50分の山岸智、87分のチェ・ヨンスのゴールで、2-1の逆転勝利を収めた。
オシム監督は数的優位に立つと、最終ラインを1枚削り最前線にFW巻誠一郎を投入して前線を厚く、この采配が結実した。千葉公式サイトによると、オシム氏は「同点の状況で相手が一人少ないのだから、当然といえる作戦。勝ちにいかなければならないし、相手が1トップである以上、最終ラインに3人いる必要などない」と語っている。
そして最後まで残し続けたチェ・ヨンスは、最後に得点を決めて結果を残した。「私は彼について『常に試合を決める選手』と聞いていたので、最後まで待っていた(笑)。決勝ゴールを挙げたのは素晴らしいの一言。ただ、それが彼の仕事でもあるし、90分間を通して見た場合、いいプレーをしたとは決していえない」と、称賛とともに期待を込めた。
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リスクをかけて、勝点3を掴み取りにいった。その初采配のあと、オシム氏はこんな言葉を残している。
「サッカーとは危険を冒さないといけないスポーツだ。それがないと例えるならば、塩とコショウのないスープになってしまう」