【なでしこ】マンCのGK山下杏也加、まさかのキャプテン打診に快諾。汲み取ったノリさんの想いとは!?
なでしこジャパンのGK山下杏也加。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
「一回きりだと思っています」
[国際親善試合]日本女子代表 4-0 韓国女子代表/2024年10月26日/国立競技場
国際親善試合「MIZUHO BLUE DREAM MATCH 2024」、サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)が北川ひかる、藤野あおば、田中美南、谷川萌々子のゴールで、韓国女子代表に4-0の勝利を収めた。
「一回きりだと思っています」
マンチェスター・シティのGK山下杏也加は試合前日のウォーミングアップ時、佐々木則夫監督代行からキャプテンの打診を受けた。ノリさんの意図を汲んで快諾したが、「(熊谷)紗季さんに甘えていた」と自覚する一日になった。
資質的にキャプテンには向いていないと感じてきたという。言葉で仲間の心を燃やすのは、山下にとって、あまり得意とは言えない。ただ今回、”言葉で表現できる経験を積ませたい”という佐々木代行監督の想いを感じ取って、最初は苦笑したが引き受けた。
フィールドプレーヤー出身の彼女は、ゴールマウスを守るようになってからも、そのテクニックが武器となって評価されてきた。
2015年に代表入りし、2019年のフランス・女子ワールドカップから今夏のパリ・オリンピックまで世界大会も経験し、現在29歳になった。GKとしても成熟期に入っている山下だが、少し弱気な発言をすることもあったという。
「高倉監督のもとでの時代で、力を出し切ったと自分のなかで思っていたところがありました。ピッチ外のところでも正直疲れ果てて、もう池田(太)監督の時に呼ばれないと思っていたから……でも、ここまで引き上げてもらえました」
今夏のパリ五輪前、山下は“ピッチ外”での選手間の距離感を変えたと言っていた。
衝突しながらも向き合うことを重視してきた彼女だが、必ずしもそう接することで状況が好転するわけではないと考えるようになった。
「距離を置くことで(味方であっても)どんなプレーをするのか、よりその人を読むようになって、学びもありました」
とはいえ、それはそれで彼女はまた逡巡するようになった。
「人に言うからには自分もしっかりやってないといけないって思ってたけど、それをしなくなったことで結果的に自分に甘くなったかもしれません」
そんななかで果たしたのが、INAC神戸レオネッサからマンチェスター・シティへの移籍という挑戦権でもあった。
そんな最後尾でなでしこを見守ってきた山下の葛藤とチャレンジに、今一度スポットを当てる。佐々木監督がこの1試合限定で指揮するという状況を上手く活かした主将指名の“名采配”と言えた。
山下はなでしこジャパンのキャプテンという大役を引き受け、そこでまたいくつも新たに得るものがあったに違いない。
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