【ベガルタ仙台】ユース監督・コーチのパワハラ報道、クラブが『継続起用』の理由を説明
ベガルタ仙台のサポーター。(C)SAKANOWA
新体制で、いずれもユースチームの指導者として残った経緯、これまで公表しなかった背景など説明。
J2リーグのベガルタ仙台は2月19日、同日の仙台ユースでの前監督・現コーチによるパワハラに関する一部報道を受けて、公式サイトにて「事実確認の経緯や判断および処分などは事実であり、ベガルタ仙台に関わる全ての皆さまにご心配とご迷惑をおかけすることになり、深くお詫び申し上げます」と報告した。これまで公表しなかった理由として、加害者と被害者が把握されていて、弁護士を介して協議した結果、そのように判断したと説明している。
また、報道では厳しい言葉を発するなどパワハラを働いたとされる前監督だが、2025年度もユースチームに残って指導者に着任している。同じく問題行動があったとされるコーチも継続起用されている。つまり、監督のみを新たに迎え入れたが、いずれもユースでの指導にあたっている。
仙台は「当該コーチと元監督の起用継続について」として、次のように説明している。
「当該コーチと元監督による不適切な指導があり、顧問弁護士からパワーハラスメントに該当するとの指摘を受け、契約に基づいた処分を行ないました。
またユース全体での保護者説明会を実施し、被害者の方には当該コーチと元監督から直接の謝罪の場を設けました。
保護者説明会では、当該コーチと元監督によるこれまでの指導内容や選手とのやり取りも踏まえ、顧問弁護士やJリーグと協議の上、当面の起用の継続等を説明しました。
翌年度(2025年度)の起用については、これまでの指導実績や責任感等を踏まえて、改めるべきことは改めた上で高いコンプライアンス意識のもと責任ある指導を継続させることを判断したものです」
また、こうした状況を「公表しなかった理由について」として、次のように報告している。
「本事象は加害者と被害者が特定できており、これ以上被害が外部に及ぶ、拡大する恐れがないこと。公表した場合に未成年である被害者の特定や、加害者や被害者への誹謗中傷などが発生しないよう、顧問弁護士やJリーグと協議し、保護者説明会で説明した上で、公表を行わないことといたしました」
仙台は再発防止策として、次のように説明している。
「現在、既に以下の施策を実施しております。
・外部講師によるアカデミースタッフへの定期的な研修
・コーチが遵守すべき行動規範を選手や保護者へ明示、説明
・コーチとの定期的な個人面談
・コンプライアンスに関する通報窓口の存在がより分かりやすくなるよう広く周知
・コンプライアンスに関するアカデミースタッフへのアンケートの実施・コンプライアンスオフィサーによる定期的な現場巡回など
また、一部の保護者さまからの要望もあり、被害者への専門家によるメンタルケアも実施しております。今後、同様な事案が発生しないようクラブ一丸となってコンプライアンスの徹底に取り組んでまいります」
サガン鳥栖では、金明輝氏(現・アビスパ福岡監督)による、ユース年代へのパワハラが発覚し、大きな問題となったのは記憶に新しい。
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結局、罵倒が指導だという認識を持っているコーチや監督が、変わらず権力を持ってしまっている日本サッカーの現状が見えてくる。加えて、そうした厳しい言葉などを許容する指導者を管理する側も、いまなお多く見受けられることが分かる。