×

浦和 Jリーグ1位「売上高 100億円」、世界だと…。ドイツ1部17位ボーフムと匹敵

浦和は今夏、クラブW杯に出場する。(C)SAKANOWA

しかし移籍マーケットでは苦戦。来年からは秋春制移行、リーグや東アジア全体での底上げが必要に。

 J1リーグの浦和レッズ(浦和レッドダイヤモンズ株式会社)は4月24日、定時株主総会を開き、2024年度(2024シーズン)の事業収支を発表した。売上高は102億1100万円で、前期103億8400万円からマイナス1億7300万円だったが、Jリーグクラブ史上初となる「2期連続100億円突破」を記録した。

 昨シーズンはAFCアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に出場できず、ルヴァンカップも早期敗退となったなかでの大台達成に。広告料収入は3期連続で40億円、入場料収入も2シーズン連続で20億円を超えた。

 国内リーグでは財力の突き抜ける浦和だが、近年、選手獲得では世界のマーケットで苦戦を強いられている。Jリーグは2026年から、ヨーロッパ主要リーグに合わせて秋春制に移行することが決まっていて、各国強豪の市場と“真っ向勝負”しなければいけない環境に置かれる。

 では、ヨーロッパであれば、どのあたりのクラブと“競合”しているのか。売上高からチェックしてみた。

 ドイツ・ブンデスリーガであれば、昨シーズン浅野拓磨が活躍し、今季は三好康児がプレーする現在17位のVflボーフムは、2023-24シーズン、総売上7730万ユーロだった。現在の為替レートで換算すると約125億円である。

 1部でコンスタントに戦えるようになりつつある佐野海舟の所属する1.FCVマインツ05は1億2180万ユーロで約197億円。板倉滉のボルシア・メンヒェングラートバッハのレベルになると、1億9980万ユーロで約324億円と格が上がる。

 ちなみに奥抜侃志が今季途中まで在籍した2部ではあるが名門1.FCニュルンベルクの2023-24シーズンの売上高が、5540万ユーロで約90億円だった。

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)、UEFAヨーロッパリーグ(EL)などヨーロッパのカップ戦に出場するクラブは一気に獲得賞金も跳ね上がる傾向にある。ボーフムはギリギリで1部残留を果たすなど、いずれも欧州カップ戦には出場していない。

 ボーフムのイリヤ・ケンツィヒ・マネージングダイレクターは「ボーフムがブンデスリーガで長期にわたり地位を確立していくためには、少なくとも1億ユーロの売上高が必要だ。2部リーグに11年いたVfLは、ライバルたちに迅速に追いつく必要があり、この差を埋めるため『ビジョン100+』の成長計画を策定した。この数字を実現するため、私たちはこれを着実に実行しています」とコメントしている。

 ブンデスリーガ1部で継続的に戦っていくためには、100億ユーロ=160億円以上の売上高を常に計上する体力が必要になっているということだ。

 もちろん、そもそもプレミアリーグを頂点に各国リーグとつながるヨーロッパの立地に、Jリーグは敵わない面もある。加えてサウジアラビアをはじめとした中東、ワールドカップが開催されるアメリカでもサッカー熱が高まり、ひとえに「額面」だけで計れない面もある。

関連記事>>【浦和】Jリーグ史上初「2年連続 売上高100億円以上」。広告料収入は3年連続40億円突破、グッズ販売が過去最高

 これだけのサポートを得ながら、浦和が東アジアで突き抜ける成績を残せずにいるのも一因と言える。ただリーグや東アジア全体で底上げされていかないと、Jリーグの何が強みなのかは見えてこず、優秀な選手獲得が難しくなるだけでなく、タレント流出も続いてしまいそうだ。