ファーストプレーで同点アシスト西大伍のACL水原戦語録「スター」「10分一仕事」「普通にやれよ」
ACL水原三星戦で同点ゴールをアシストした西大伍。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
「何でもできる位置にトラップからボールを置けた」。今季のACL 、J、天皇杯で得点&アシスト記録。
[ACL 準決勝 1st] 鹿島 3-2 水原三星/2018年10月3日/県立カシマサッカースタジアム
アジアチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝ファーストレグの鹿島アントラーズ―水原三星戦、劇的勝利につながるセルジーニョの同点ゴールをアシストしたのが、交代出場した直後の西大伍だった。
83分に3枚目の交代カードで遠藤康に代わって右サイドハーフに入る。連戦中とあって、この日はターンオーバーでベンチスタートとなっていた。投入されるまでの心境を西は語る。
「(土居)聖真がボランチに入ったところからいい位置でボールを受けられるようになり、リズムができてきていました。(そこで投入され)『点、取ろうかな』と思って入りました。(ベンチから見ていて)なんで、あんなにバタバタ攻めているんだろうと見ていました。『普通にやれよ』と思って見ていました。かなりプレッシャーを感じていたんですね」
すると投入から1分後だった。最終ラインのチョン・スンヒョンからのパスを受けた背番号22はスッと持ち上がってクロスを放ち、セルジーニョのゴールをアシストしてみせたのだ。
交代後のファーストプレーだった。
「ボールを受ける位置が良かった。そこでまず何でもできるところにトラップからボールを置こうと心掛けました。(チョン・)スンヒョンも見てくれていて、置くことができたあとに、(逆サイドを駆け上がった)セルジが見えました」
グラウンダーの鋭いクロスを放つと、加速していたセルジーニョがしっかり合わせて2-2に追い付くゴールが生まれた。
83分からの出場で、1-2の劣勢から最後は3-2の逆転勝利へとひっくり返した。出場時間約10分間で、まさに大役をこなした。
「10分ぐらいで仕事ができるなら、一番いいですよね。これからそういうプレーヤーになりましょうか。スターを目指していますので。まだ、そこまで年は取っていませんが」
大岩剛監督の期待に応えて、ファーストプレーでアシストするとは離れ業だ。それでも西は「たまたまですよ」とクールに謙遜していた。
西はこれで、Jリーグ、ACL、天皇杯と、まだ2試合しかして行っていないルヴァンカップ(1ゴールは記録済)以外、全コンペティションで得点とアシストを記録したことになる。センスの塊であることを物語るデータだ。さらに西&内田の右サイドが効果を発揮したことを含め、チームにも勝利に加え、たくさんのプラスをもたらした。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI