左肩を傷めた水戸MF伊藤涼太郎「大丈夫です。ただ…」。3連敗に責任を痛感
浦和レッズから水戸ホーリーホックに育成型期限付き移籍中の伊藤涼太郎。(C)SAKANOWA
先制点を決めたJ・バイアーノは「涼太郎のシュートが必ずこぼれてくると感じ取れた」。
[J2 36節] 大宮 2-1 水戸/2018年10月6日/NACK5スタジアム大宮
水戸ホーリーホックのMF伊藤涼太郎が大宮アルディージャ戦、ジェフェルソン・バイアーノの先制点をお膳立てする活躍を見せた。しかし前半途中に相手選手と競り合った際に左肩を傷め、CKからマテウスのマークを外してしまうミスをしてハーフタイムで交代に……。水戸は3連敗で勝点47のまま。J1昇格プレーオフ圏まで、残り6試合で13ポイント差と厳しい状況に追い込まれた。伊藤にとっても、水戸にとっても、痛い1敗を喫してしまった。
水戸の狙い通りだった。17分、左SBジエゴのボール奪取から、パスを受けた伊藤がペナルティアーク付近から強烈なシュートを放つ。このボールをGKが弾いたところ、ジェフェルソン・バイアーノが押し込み幸先よく1点を奪った。
「先制点は水戸としての狙い通り。相手はつないでくるのを分かっていましたし、そこで奪ってショートカウンターに持ち込めた。決めきりたかったですけど、バイアーノがしっかり詰めてくれました。非常にいいゴールでした」
ただ、その後は劣勢を強いられる。そのなかで、36分、伊藤は肩を強打し、一時ピッチに倒れ込む。1分後にはピッチに戻ったものの、前半アディショナルタイムにCKからマテウスにマークを外されて同点ゴールを決められてしまう。
「自分の準備不足。自分の責任だったと思います。前半だけ行ってみようと思いましたが……」
そして伊藤はハーフタイム、岸本武流への交代を告げられる。
「ケガはサッカーではつきもの。相手も故意にやったわけではないので、仕方ないです」
伊藤はそのように割り切っていた。しかし、後半、水戸は1点を追加されて逆転負け。J1昇格への望みを膨らませたかった、この勝負どころでの3連敗には、唇を噛みしめていた。
「(左肩について)骨には異常がないようで、大丈夫です。ただ……この現状をしっかり受け止めるしかない。本当に何が足りないかがハッキリしました。あとは、体を張ってゴールを守り、決めるところもそう。最後のところの精度をさらに高めないといけません」
伊藤はそのように課題を挙げていった。
次節はホームでの東京ヴェルディ戦。鎖骨などには異常がないようなので、一旦、水戸に戻り様子を見るという。
昨季途中に浦和から育成型の期限付き移籍し、1年が経った。「(長谷部)監督から、よりゴールに近い位置で仕事をするようにと言われています。9点は取れているとはいえ、少ないと感じています。(対戦した大宮の)大前選手は20点以上。そうした選手と比べればまったく足りないし、チャンスメイクにも、もっともっと絡んでいかなければいけない。もっと言えば、チームを勝たせられるような選手にならなければいけない」
この3連敗は、いずれも1点差。それだけに、伊藤は自身の勝ち切るための勝負強さが不足していると感じていた。
「もうちょっと自分が勝たせられる選手になれれば、この1点をひっくり返せたり、1点を守り切れたりできたはずです。それを言っていたら切りがありませんが、僕はそういった選手になりたいです」
プロ3年目の20歳。水戸で主力の座を掴み取り、そのポジションを継続して担うことで、考え方も大人に変わっていっている。
得点を決めたジェフェルソン・バイアーノも「涼太郎は本当にセンスがある。シュートを打ってくることを自分も感じ取り、必ずチャンスになると思って詰めることができた。久々のゴールになったよ」と信頼関係が築かれていると語っていた。まさに水戸のホットラインである。
左肩のケガや、先制点のお膳立てより、チームを勝利に導けなかったこと。伊藤はその責任を何よりも痛感していた。駆け付けた水戸のサポーターからも熱い「涼太郎コール」が送られていただけに、もう一度、いや、さらに何度も、その情熱を全身で爆発させるようなプレーで意地を見せたい。
文:サカノワ編集グループ