【ファインダー越しの世界】撮影を難しくした武骨なサッカー。浦和は戦闘集団と化していた
浦和がACLで10年ぶりの優勝を果たす。カメラを撮影していて、準決勝から"変化"を感じた。写真:徳原隆元
上海上港戦は、カメラマン泣かせの展開だった。
浦和ー上海上港のACL準決勝第2戦は、カメラマン泣かせの展開だった。撮るべきシーンがなかなか訪れなかったからだ。激しいマークによってミスを誘発し、ファウルも辞さないタックルで選手が転倒、流れるような展開はほとんど作られなかった。途切れとぎれのプレーからシャッターチャンスは生まれない。局地戦の多い無骨なサッカーは写真撮影を困難なものにした。
一瞬を切り取る作業において、派手なドリブルや強烈なシュート、華麗なパスワークは絵になる。ペトロヴィッチ前監督時代には、そんなカメラマンの要望に応えるかのように魅せるサッカーを目指していた浦和レッズだったが、この日のピッチではそうしたプレーはほぼ見ることはなかった。
アジア制覇の野望を叶えるのであれば、現実的な決断だったと言える。ファインダーの先の上海上港イレブンは浦和レッズの素早く強烈なマークに対し、次第に苛立ちを露わにし、仕舞いには戦意喪失へと追い込まれていく。
浦和レッズの選手たちは戦闘集団と化していた。そして、したたかに数少ないチャンスをゴールに結び付けた。Jリーグでのボールをキープしながらも攻め切れない課題は垣間見えたが、なにより破壊力のある上海上港のアタックを沈黙させることが、トーナメント戦を勝ち抜くための最優先任務として選手全員に共通の意識が持たれていたことは間違いない。
そしてアル・ヒラルとの決勝の第2戦。ゴール裏からレンズを通して見る選手たちの表情は炎のように熱く、しかし落ち着くべき場面ではクールささえ秘めていた。身体を張って戦い、勝負どころを一気に突くサッカーは、この試合でも貫かれた。
アジア王者となった浦和は大陸のチャンピオンが集うクラブワールドカップに登場する。初戦に勝利すれば、強豪レアル・マドリーとの対戦が待っている。このスタイルが世界の舞台で研磨されれば、再び「歓喜」のシーンは訪れるはずだ。
文:徳原隆元