「自分の年にしたい」伊藤涼太郎が水戸での戦いを継続した理由と誓い
水戸での伊藤涼太郎。(C)SAKANOWA
驚異的なゴールで話題を集めた東京五輪世代のアタッカーが、浦和からの育成型期限付き移籍を延長。
「自分の意志で決めました。2年後に東京オリンピックを控え、まず今は試合に出なければいけない。レッズでとても厳しい日々が続いていたなか、昨年3か月間、水戸でプレーさせてもらいましたが、とてもサッカーをしやすい環境でした。ここで活躍したい、だから今季も残って挑戦させてもらおうと思いました」
1年間の育成型期限付き移籍(レンタル)の延長。プロ3年目を迎える19歳の伊藤涼太郎は、昨年9月に浦和レッズから加入した水戸ホーリーホックで、引き続き2018シーズンも戦うことを決めた。
2月3日の鹿島アントラーズとのプレシーズンマッチでは、77分に木村祐志と交代して出場。短い出場時間のなかで、左ウイング、右ウイング、そしてセンターフォワードと前線の複数のポジションに入り、果敢にゴールへ迫ってチャンスも作り出した。「点の取り合いになり、勝利を決定づけるゴールを決めたかったですけれど、なかなか思うようにいかず、結局負けてしまったので、そこは残念です。監督が使いやすいと思うように、ポジションはどこであっても同じクオリティでできるようにしていきたいです」と、フレキシブルかつゴールに直結する仕事のできるアタッカーを目指す。
長谷部茂利新監督が狙う、組織的なディフェンスからボールを奪い、連動性を保ってテンポよくゴールを狙うアグレッシブなスタイルに、魅力を感じている。伊藤は「すごくいいサッカーを志向していて、監督としてはもちろん、人としてとても尊敬できる方です。長谷部監督と一緒であれば、J1昇格圏は狙っていけると思っています」と心を昂らせていた。
加えて城里町に廃校の旧七会中をリノベーションした新たな練習拠点「アツマーレ」での活動が開始される(2月13日供用開始)。「僕たちはファン感謝デーのときに行きましたが、ちょうど大雪に覆われていてピッチを見れなかったんです(笑)。でも、とてもいいグラウンドだと聞いているので、本当に楽しみです」と、クラブにとっても新たなスタートのシーズンとなる。心機一転という点で、伊藤の心境とも重なる。
そして、彼は今季の目標を次のように掲げていた。
「自分の年にしたい。1年通して、水戸で一番活躍したい。もっと言うならば、J2で一番活躍したいと思っています」
伊藤はぐっと鋭い視線を放ち、意欲を示した。一方で、そのための課題もまた感じ取っていた。
「まず体作りと体力。鹿島戦も先発で出たかったですけれど、今のコンディションでは90分やれる体ではなかったです。これからの沖縄キャンプで、しっかりコンディションを整えて開幕スタメンを狙います。あとはボールを触る回数を増やして、質も高めて……全部ですね。すべてのクオリティを高めないと試合には出られません」
各世代別の日本代表に選ばれ、作陽高時代には国際大会や高校選手権で驚異的な数々のゴールを決めて話題を集めた。だが、まだプロになってからは無得点。水戸の前線を活性化させて勝利に導き、改めてこれが伊藤涼太郎だ――というインパクトを残すプレーを見せたい。
2018年、水戸にとって、伊藤にとって、勝負のシーズンが始まる。
■プロフィール■伊藤涼太郎 いとう・りょうたろう/1998年2月6日生まれ(19歳)。大阪府大阪市出身。AVANTI KANSAI FCーセレッソ大阪U-15―作陽高―浦和レッズ―水戸ホーリーホック。174センチ・62キロ。昨季J2・6試合0得点/J1・0試合0得点、J1通算1試合0得点、J2通算6試合0得点。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI