【サッカー競技規則クイズ】ラインを越える前に監督がボールを拾った。プレー再開方法は? 甲府vs水戸戦で実際に起きたが…
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ヒント「以前は直接フリーキックで再開だった」
日本サッカー協会(JFA)審判委員会は11月12日、今季8回目のレフェリーブリーフィングを開き、直近のJリーグ公式戦で起きた判定に関する疑問点やVARの運用事例について解説した。
この取り組みは、判定への理解を深め、ファンやサポーターがより正しい知識を得てサッカーを楽しめるようにと、定期的に行われている。
そのなかで最後に“クイズ形式”で紹介されたのが、11月2日のJ2リーグ35節のヴァンフォーレ甲府対水戸ホーリーホック戦で起きた珍しいケースだ。29分、テクニカルエリア付近にいた甲府の大塚真司監督が、水戸の選手がクリアしたボールをタッチライン越しに拾い(蹴り)、味方選手に渡してしまった。
この行為は、甲府側の反則行為に該当する。では、競技規則(ルール)上、再開方法はどうなるのか?
メディアからは「スローインではないはず」「ドロップボール」「直接FK」「間接FK」といった声が挙げられた。
JFA審判委員会の佐藤隆治審判マネジャー(Jリーグ担当)によると、国際サッカー評議会(IFAB)の定める競技規則の正解は『水戸ボールによる間接フリーキック』だ。
2025-26シーズンに向けた競技規則の改正前は「相手チームによる直接フリーキック」だったそうだ。
ただし今回は直接フリーキックで再開されてしまったという。
過去には、海外でウォームアップ中の選手がゴールライン際でボールを拾い、GKに渡したことでペナルティエリア内でのファウルとみなされ、相手チームにPKが与えられた事例があった。そのため、明らかな妨害行為でない場合は、間接フリーキックで再開することが定められている。
逆に相手チームのドリブルやパスなどのプレーを妨害する形で、ピッチ外の監督・スタッフ、控え選手などがラインを越えた場合は、懲戒罰に該当する。
また審判委員会としては、審判員は競技規則を正確に理解したうえで判定することを目指しているが、選手に同じレベルの完璧な理解を求めているわけではないという説明もあった。そのうえで、扇谷健司審判委員長は審判団と選手が互いに理解を深めるための対話が重要だとも強調した。
選手が感情的になる場面はあるものの、主審や審判団がどのようなルールに基づいて判断したのかに耳を傾ける姿勢も大切になる。もちろん、そこで判定に誤りがあった場合、冷静に指摘することが望ましいだろう。
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その一例として、佐藤氏は鹿島アントラーズ対ガンバ大阪戦の後半アディショナルタイム、ハンドの判定で鹿島にPKが与えられた場面を取り上げた。G大阪のキャプテンである宇佐美貴史は、鹿島側にもハンドの可能性があったと主審に指摘したが、感情的にならず説明を受け入れて味方にも伝えていた。その冷静な対応は、模範的な振る舞いに評価されていた。




