「戦い方を変えなければ絶対に勝てた」昌子源が苦言。ACLで勝点1を獲得したポジティブな雰囲気を引き締める
昌子はサイドを生かし、試合をコントロールする戦い方を貫くべきだったと指摘した。(写真2月4日の水戸戦)(C)SAKANOWA
内田が大局的な収穫を挙げる一方で――。1-1に追い付いてから、攻撃スピードが上がりすぎ、ボールを失った。
[ACL GS1節] 鹿島 1-1 上海申花/2018年2月14日/カシマ
鹿島アントラーズは上海申花戦、ボールポゼッション率で70パーセント台(70.2パーセント)を記録するなど90分通じてほぼ試合を支配しながら1-1で引き分け、勝点1の獲得にとどまった。内田篤人が「絶対に方向性は間違っていない。このままで大丈夫」と大局的な手応えを得るなか、昌子源は「絶対に勝てたと思う」とこの試合に関しての苦言を呈した。
「変わらずに90分間、同じサッカーを続けていれば、絶対に勝てたと思う。でも1-1に追いついてから、自分たちでサッカーを変えてしまった。縦に速くなったり、相手が固めているけれど中、中、中と集中したり。相手はいざシュートを放つところで体を張っていたが、特にペドロ(・ジュニオール)のシュートはすべて当たっていた」
ボールを予想以上に支配できている。ただ、その状況によって”いつかゴールできる”という空気が流れているのを察した。
「そこ(強引なシュート)ではなく、味方をシンプルに使ったり、相手の嫌がっていたフリックだったり、それを続けられず、僕たちから戦い方を変えてしまった。1-1になってからもどんどんサイドを徹底的に使って、隙を見つけていければ良かった。前半から1点追いつくまでの戦いをしていれば、勝てた試合だったと思う」
昌子はそのように指摘。サイドでしつこいぐらい起点を作ったり、最終ラインを使ったサイドチェンジを織り交ぜたりすべきだったと課題を挙げた。
「味方にも『縦に急ぎすぎている』と伝えました。1-1に追い付いてから攻撃スピードが上がりすぎて、すぐボールを失い、オープンな展開にしてしまった。だからこそ、もったいなかったなと……。もっと、試合をコントロールできたはずでした」
上海申花が狙っていたのは、前線のコロンビア代表グアリンら外国籍選手の個人技を頼ったカウンターだ。昌子と植田直通を軸とした鹿島守備陣は危うい場面はあってもしっかり対応できていただけに、逆に鹿島アタッカー陣の攻撃がやや淡泊に映っていた。
”ポジティブ”な雰囲気を、最終ラインで闘い抜いた男がしっかりと引き締めていた。何よりこうした厳しい指摘の声が、より高いレベルを目指して切磋琢磨し合う鹿島にとってはプラスに働くに違いない。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI