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【大宮V】鮫島彩は喜びと覚悟の移籍。プロリーグ発足に「奇跡的なタイミング」

大宮VENTUSの新体制発表会で抱負を語る鮫島彩(前列中央)ら。(C)1998 N.O.ARDIJA

大野忍がコーチ就任「選手と同じ気持ちで同じ方向を向いて」。

 今秋に開幕する女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)に参入する大宮アルディージャVENTUS(大宮V)が2月6日、新体制発表を行った。2011年の女子ワールドカップ(W杯)で世界一に導いたなでしこジャパン(日本女子代表)元指揮官の佐々木則夫総監督と岡本武行監督のもと、25人の選手を擁して、第一歩を踏み出す。

 注目を集めた一人が、INAC神戸レオネッサから移籍してきた鮫島彩だ。2011年のW杯では左サイドバックの主力として世界女王の座を掴み、現在もなでしこジャパンの中心選手として活躍している。

 INACから大宮への移籍を決めた理由は一つではないと言う。

「現役のうちにプロリーグが発足するというのは奇跡的なタイミング。そのタイミングで新たなことに挑戦したいという想いが強くありました。新たに立ち上げるチームに、初年度から携わってみたいというのが大きな理由の一つです」

 INACからは他にも、前線を牽引するとともに女子サッカー界トップのフォロワー数を誇る仲田歩夢、このほどなでしこジャパン候補入りを果たした期待のGKスタンボー華も大宮入りを果たした。さらには、日テレ・東京ベルディベレーザからは鮫島とともに11年女王になった阪口夢穂、現在のなでしこジャパンの礎を築いた有吉佐織というベテランも加わった。また、FC十文字VENTUSからも6人が加入。華やかな顔触れが揃う一方、バランスの取れた選手層になった。

 選手獲得に奔走したのが佐々木総監督だ。

「交渉にあたっては、もちろんあの手この手を使いました。代表監督の時のように簡単に呼べる状況ではありませんでした。(集まってきた選手は)志は、割とすぐ私のチームに向けてくれた気がします」

 そのように佐々木総監督らしい熱いアプローチが結実した。

 大宮Vのもう一つの目玉が、コーチに就任した元なでしこジャパンの大野忍だ。戦術理解に長け、世界の最前線で戦ってきた大野の指摘には説得力があり、「選手と同じ気持ちで同じ方向を向いて戦えるコーチになりたいです」と、彼女らしい目線で抱負を語った。

 加えて驚くのは、ピッチ外でも受け身でなく自分たちが大宮Vを作り上げるという強い意志を持ってこの地にやって来ていることだ。鮫島は「フロントに企画を提出したり、選手から積極的に発信していきたい」と意欲的だ。

 この選手たちの心意気をチームがどのように昇華させていくのか。相乗効果が生まれれば、これまでにない新たなプロサッカーチームの形を築くことができるかもしれない。

大宮VENTUSのスタッフと新加入選手。(C)1998 N.O.ARDIJA

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[取材・文:早草紀子]

Posted by 早草紀子

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