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徳島ポヤトス監督の海外からのリモート指示「ルール上『OK』」。しかし実現困難な理由とは?

徳島の岸本武流。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

新規53人が来日できず、他にビザ発給の遅滞も。

 Jリーグの実行委員会が2月8日に行われ、午前中のNPB・Jリーグ新型コロナウイルス対策連絡会議の報告、リーグ開幕に向けて目線合わせと調整をした。実行委員会後に記者会見が行われ、現在、すでに契約を結んでいるものの53人の新規契約の外国選手選手・監督・スタッフらが来日できずにいること、さらに加えてビザの発給が遅滞して日本に来られずにいる選手・スタッフらがいることも報告された。

 また、質疑のなかで、徳島のダニエル・ポヤトス監督が来日できずにいる問題について、興味深い質問が出た。

 ポヤトス監督はビザ発給も遅れていて、開幕までのチーム合流が間に合わない可能性が高まっている。そのためS級ライセンスを持たない甲本偉嗣コーチが代行で指揮を執ることが、Jリーグから認められている。

 では、ポヤトス監督がスペインからベンチに指示を送ることはルール上問題ないのか? という質問が出たのだ。

 現在スタジアム内のスタンドからベンチに無線などで、指示や状況などを伝えることは認められている。Jリーグによると、たとえ外国からであっても、指示を送るのは「問題ない」ということだ。つまり、そこまでは規定されていない。

 ただし、ポヤトス監督の場合、別の点で問題が生じるという。

 ポヤトス監督はスペインから出国できない状況にある。そのスペインでは、現在、DAZNを含め、Jリーグが放映されていない。権利上、Jリーグを視聴できない環境にあるのだ。

 そのため、現状であれば、ポヤトス監督がスペインから何かしら試合映像をライブで見ながら指示を送る――。それは理論上、できないということだ。

 もちろん、放映されている国に行った場合、そこから電子機器を活用しての指示は可能になる。

 ちなみに、日本サッカー協会が発表しているIFABが定めた「2020-2021サッカー競技規則」の4条「競技者の用具」、4項「その他の用具」の中の「電子通信」では、次のように定められている。

 競技者(交代要員および交代して退いた競技者、退場となった競技者を含む)があらゆる形式の電子、または、通信機器(EPTSが認められる場合を除く)を身に付ける、あるいは、用いることは認められない。

 チーム役員によるあらゆる形式の電子通信機器の使用は、競技者の保護や安全に直接関係する場合、あるいは、戦術的またはコーチングの目的であれば用いることが認められる。

 ただし、小型で、持ち運びでき、手で携帯できる程度のものに限られる(例えば、マイク、ヘッドフォン、イヤフォン、携帯電話またはスマートウォッチ、タブレット、ラップトップPC)。

 認められていない機器を使用したり、あるいは、電子または通信機器を用いて不適切な行動を取ったチーム役員は、退場となる。

 2019年にJ2リーグの選手が海外の選手を真似て、ゴール後にベンチに置いていたスマホで歓喜のシーンを自撮りするパフォーマンスをして、Jリーグからこの規定に反するとして処分される出来事があった。

 ただし、監督、コーチを含む「チーム役員(監督、コーチが『チーム役員』に含まれることも規定されている)」の間であれば、戦術的・コーチングのために電子機器を活用することは認められているということだ。

 今後、徳島がどのようにポヤトス氏の意向を組み入れていくのか。気になるところだ。

 新型コロナウイルス感染症の新規感染者数も減少傾向にある。まずはポヤトス監督の来日への“ゴーサイン”が1日も早く出されることが望まれるが――。

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[文:サカノワ編集グループ]

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