【INAC神戸】WEリーグ開幕4連勝、全試合無失点。GK山下杏也加が古巣ベレーザ戦で魅せたプライド、チームにもたらした勝点3以上の自信
INAC神戸の山下杏也加。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
「自分は何をしにここに来たのか、ベレーザのみんなに見せる必要がありました」
WEリーグ首位を走るINAC神戸レオネッサが、開幕から4連勝と好調だ。何より注目すべきは全試合で無失点を続けていること。その守備を支えているのが、「要」として今季補強したなでしこジャパン(日本女子代表)にも選ばれるGK山下杏也加だ。
日テレ・東京ヴェルディベレーザから大きな覚悟を持ってライバルチームへの移籍を決断した。前節ではその古巣をホーム・ノエビアスタジアム神戸に迎えるという山下にとっての大一番を戦った。
精度の高い連係を武器にするベレーザに対し、INACは攻め込まれる時間帯が続いた。それでも決定的な場面は作らせない。星川敬監督のプラン通り、動かされることを前提に前半の攻撃はカウンターに絞って我慢の時間を重ねた。
そして「前半は感情的になってしまった」と山下が振り返るなか、27分、彼女の機転からチャンスも生まれた。
前線を突こうと試みる西川彩華に、山下が「もう一回!もう一回!」と声をかける。西川は再度トライすると、プレスに上がっていたベレーザの最終ラインの裏へ道が開ける。
結果、走り込んだ浜野まいかのフィニッシュにまでつながった。山下のロングキックがケアされていたなか、直接のプレーではなく“声”からビッグチャンスをもたらしたのだ。
「自分たちはフィジカルや空中戦は強いので、(ベレーザが)前からプレッシャーに来てもDFの前でボールを収められます。DFの前のスペースを狙っていけばいいと思っていました」(山下)
そしてDF陣のポジショニングにも細かく注意を払った。
「監督は前から取りに行って欲しいということでしたが、まだ自分たちのクオリティはそこまで高くないと思ったので、ある程度一つ低い位置からジワジワかけていく方がいいんじゃないのかなと思って、(状況を見て)『引いて!引いて!』って言っていました」
ピンチを察しての対応。そのように先を読める力は、山下の魅力の一つでもある。
「古巣に負けるのは自分のなかでプライド的にも許せないし、自分は何をしにここに来たのか、ベレーザのみんなに見せる必要がありました」
並々ならぬ想いは結実し、76分の髙瀬愛実のゴールで、1-0の無失点勝利――。
山下だけでなくI神戸のクラブ全体に、勝点3以上の自信をもたらした。
開幕から4試合無失点。その連続勝利と「クリーンシート」はどこまで続くのか――。I神戸は今週末17日、怒涛の5連勝を目指してノジマステラ相模原とホームで対戦する。
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[取材・文・写真:早草紀子]