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【INAC神戸】新『9番』吉田莉胡インタビュー(1/3)ちふれへの感謝と覚悟の旅立ち「ずっとお世話になったクラブを、自分が強くしたい気持ちがあった」

「今は日本を代表する選手になりたい。そしてなでしこジャパンに入って、海外へ目を向けるのはその先」。吉田莉胡はINAC神戸で結果を残すことに集中しているという。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

宮本ともみ監督との運命的な“再会”、これまでWEリーグ得点ランキングトップ9得点をマーク。

 WEリーグの女王奪還を目指すINAC神戸レオネッサが2025-26シーズン、力強いスタートを切った。11 試合を終えて、9勝1分1敗の勝点28で首位。なでしこジャパンのコーチを務めていた宮本ともみ新監督のもと、エースストライカーナンバー『9番』を背負うのが吉田莉胡だ。

INAC神戸でこれまでWEリーグトップの9ゴールを記録。チームも首位に立つ。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

 吉田はちふれASエルフェン埼玉のアカデミーで育ち、アンダーカテゴリーの代表チームでもプレーし、ニルス・ニールセン監督のもと今夏のE-1東アジア選手権でなでしこジャパン(日本女子代表)デビューも果たした。

 まだまだ道半ばだと自覚しながらも、吉田はこれまで得点ランキングトップのリーグ9得点を記録している。

 INAC神戸の新エースストライカーがインタビューに応じ、これまでのターニングポイント、新天地に懸ける想い、そして自身のサッカー観などを語った。

「ずっとお世話になったクラブを、自分が強くしたい気持ちがあり、4シーズンちふれでプレーしてきました。そのチームを離れるのは苦渋の決断でした……。個人的な将来のこと、目指しているところに行くために、このタイミングでチャレンジしたいと思いました」

 まず吉田は古巣のちふれへの想いを語った。

ちふれASエルフェン埼玉での吉田莉胡。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

 若くしてキャプテンマークを託され、チームの顔として、ピッチに立ち続けた。結果に恵まれなくとも、どんな時でも仲間を鼓舞し、同時に自らをも奮い立たせながら戦ってきた。

 そして22歳にして、移籍を決断した。

 吉田の最初の転機は2022年のU-20女子ワールドカップだった。日本は準優勝し、そこで活躍した浜野まいか(チェルシー)、藤野あおば(マンチェスター・シティ)が、なでしこジャパン入りしていった。ただ吉田はその舞台、大きな悔しさを味わった。

「初めて経験する国際大会で、自分はグループリーグしか出られなくて、しかも出場時間も短くて何もできませんでした。チームの力になれなかったのに準優勝。その悔しさが大きかったです。海外の選手と戦って自信をつけて帰ってきた——とかは本当にありませんでした。同世代のなかでの自分のレベルが明確に分かった大会でしたし、U-20ワールドカップをきっかけにサッカーへの向き合い方が変わりました」

 ちふれでの振る舞いも変わった。川越育ちという地元チームのプロ化。WEリーグ開幕に合わせてトップ昇格を果たし、23-24シーズンからはキャプテンを任された。ちふれのシンボリックな選手へと成長した。 そして、なでしこジャパンで活躍したい。同世代の活躍にも触発された。

 加えて、移籍の後押しとなった一つが宮本監督の存在だ。U-20時代のコーチを務めていた宮本監督は吉田にとって“なんでも見透かされている”と感じる特別な存在だという。

「まさか同じチームになるとは! オファーが来た時に『次の監督は宮本さんです』と言われてビックリしました。実際、宮本監督の存在も決断の一つの理由です。ただ代表の時、みっちーさん(宮本監督)めっちゃ怖かったんですよ(苦笑)。なんて言うか、優しいんですけど厳しいというか、すっごい“見られている”感があるんです。それが恐ろしい(笑)。『見てますよー』みたいな。ごまかしが一切効かないんです」

 吉田自身はまだまだ実績が乏しいと実感していて、「今は日本を代表する選手になりたい。そしてなでしこジャパンに入って、海外へ目を向けるのはその先」と、INAC神戸での一戦一戦結果を残すことに集中している。

INAC神戸のチームメイトと歓喜! 写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

※連載3回目の次回は29日朝に掲載します。なでしこジャパン(日本女子代表)デビューと、そこで得た経験を生かしてのWEリーグ初のハットトリック――ストライカーとしてブレイクスルーを遂げた機会について語る。

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【次回ホームゲーム】
2025/26 SOMPO WEリーグ 第12節
INAC神戸レオネッサ vs ノジマステラ神奈川相模原

▼日時:2025年11月2日(日)14時00分キックオフ
▼会場:ノエビアスタジアム神戸

◎【来場者プレゼント】
協賛企業:セコム株式会社
配布場所:入場口にて配布
☆応援タオル
☆抗菌ウェットティッシュ&オーシャンプラスチックボールペン

Posted by 早草紀子