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「すべて、たら、れば、になる」鹿島の西大伍が悔しさをぶつける先

鹿島アントラーズの西大伍(ACL水原三星戦より)。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

慌てる相手からあと1点を取れず、「力がないということ」。

[ルヴァンカップ 準決勝 第2戦] 横浜FM 2-2 鹿島/2018年10月14日/ニッパツ三ツ沢球技場
※2試合トータル4-3で、横浜FMが決勝進出。

 鹿島アントラーズの西大伍はルヴァンカップの横浜F・マリノスとの準決勝第2戦のあと、気持ちを整理するように言葉を選びながら、心境を打ち明けた。

「(どのような気持ちか)うーん……なんですかね、ちょっと、あまり分からないです。相手の……、いや、すべて、たら、れば、になってしまうので。もちろん、ひっくり返す気持ちで(試合に)入って、みんなで闘えていたと思います」

 その言葉の奥には、勝てたはずだったのではないか、という思いが見え隠れする。それでも結果、2試合トータル4-3で負けた。ただ、何が足りなかったのか。そこはまだ言葉にして言い表すことができない、という様子だった。

「それでも相手のやり方のほうが、点につながってしまった。(2失点目が重く響いた?)いや1失点目ですかね、僕の中では。やっぱり先に点を取りたかったので。立ち上がりは良かったと思います。第1戦よりも前から行けていたし、リスクを負っていけていました。そこで1点がほしかったですね」

 右サイドバックで出場し、途中からはサイドハーフでもプレー。右からも、左からも攻め上がり、あとゴールまでわずかという惜しいクロスも放った。土居聖真とセルジーニョのゴールで2点を返したあとの試合終盤も、主導権を握り相手を押し込んだ。相手はジリジリしている。少なからず慌てているようだった、が……。

「僕らがあっちの立場であれば、勝ち上がるチームは、完璧に締めて終わろうとする。そうすべきなんだけれど(できていない印象だった)……。そういうチームに負けた僕らも、力がないということ」

 横浜FMもこうした状況下、勝ち慣れたチームではないことを感じ取っていた。それを逆手に取り、土壇場でこそ、あと1点取り切れたのではないか。まさに、たら、れば、になってしまうが、西はその詰め切れなかったことを悔やんでいた。

「引きずってもしょうがない。久しぶりに次の試合まで3日以上空くので、みんな精神的にも休めればと思います」

 10月20日のアウェーでの浦和レッズ戦を経て、24日には同じくアウェーでのアジアチャンピオンズリーグ準決勝の水原三星との第2戦が控える。勝ち上がれば、決勝がすぐ待っている。

 闘いは続く。しかも痺れる対戦が待っている。

「残ったタイトルを獲りにいきます」

 西は少しだけ語気を強めて言った。この悔しさを晴らす、今回の反省を生かす、その舞台がまだ残されている。アジアの頂点を目指して、ここで仕切り直しだ。鹿島の22番が頷いて、前を向いた。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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