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内田篤人がブーイングにキレた理由「相手に鹿島が上手くいっていないと思われても仕方ない」

川崎戦後の鹿島の内田篤人。一部サポーターからのブーイングに疑問を投げ掛けた。(C)SAKANOWA

鹿島の新キャプテンが試合後、サポーターへ一歩詰め寄る。

[J1 2節]川崎 1-1 鹿島/2019年3月1日/等々力陸上競技場

 中村憲剛の直接FKと伊藤翔の技ありトラップからの公式戦3試合連続ゴールが飛び出し、最後は両チームともに譲らず、川崎対鹿島の一戦は1-1に引き分けに終わった。両チームの良さと課題が見えたと言えたその試合後、鹿島の新キャプテンの内田篤人がキレるシーンがあった。

 試合を終えたあと、内田が先頭に立って、ゴール裏の鹿島サポーターのもとへあいさつに行く。するとサポーターの数人(一人?)からブーイングが飛んだ。

 内田はそのサポーターに向かって詰め寄ろうとすると、チームメイトに抑え込まれて、そのままドレッシングルームへと戻った。鹿島の他の選手たちもそのブーイングには、やや苦い表情を浮かべていた。

 取材対応のゾーンに現われた内田は「キレた」理由について、次のように言った。

「前節(大分に1-2で敗れる)のブーイングだったり、厳しい声は受け入れます。ホームでしたから。ただ、今日の戦い方に関して、ああだろう、こうだろうと言われるのは、僕はキャプテンマークを巻いていますけれど、そこはちょっと納得いきませんでした」

 内田はさらに続けた。

「平日に応援しに来てくれている、Jリーグを見てくれる、それは本当にありがたいです。ただ、相手チームのサポーター(この日であれば川崎)が観ているなか、自分たちのサポーターにブーイングをされるというのは、『鹿島、上手くいっていないんだな』と思われても仕方ない。そこは隠してでも次に向かわないといけない。それは選手だけではなくサポーターも。一つレベルの高い話で、そういう関係性を築いていきたいと思います。僕も(サポーターへ)向かっていきましたけれど、笑いながら話せるぐらいの誰か代表者が来てくれてもいいです」

 そして鹿島の新キャプテンは、もちろん感謝している、という想いを強調して伝えた。

「感謝しています。そういう声のなか、僕らなんかやってきたし、若い選手のプレッシャーになり、チームとして勝たないといけないという雰囲気を作ってくれる。それはあったほうがいい。ただ、僕はチーム自体を、みんなを守らないといけない。だから言いました」

 内田はそのように熱く語った。鹿島にとって、この川崎戦は「勝てなかった」という試合であるのは確か。ただ半歩かそれ以上――前進できたのは間違いない。だからこそ、鹿島の代表として、内田がサポーターのブーイングに向けて”本音”をぶつけた。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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