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【U-20W杯】天を仰いだ桐光学園の西川潤。「1本で景色を変えられる」選手になれ!

U-20日本代表の西川潤(後方中央)。(C)FIFA via Getty Images.

勝負を分けた、数ミリ、数センチの”大きな差”。

 初めての「ワールドカップ」は不完全燃焼で終わった。

 来季のセレッソ大阪入りが決まっている桐光学園の10番、西川潤は意気揚々とポーランドの地に乗り込んだ。しかし納得できるパフォーマンスを見せられないまま帰国の途に就くことになった。

 ポーランドU-20ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦のU-20日本代表対U-20韓国代表戦。西川はこの大一番で右サイドハーフとして先発に抜擢された。

 グループステージ第3戦のイタリア戦(△0-0)に続くスタメンだが、負けなければ勝ち進めた前回とは状況が大きく異なる。今回は勝利を掴み取らなければいけない。

 当然、燃えないわけがなかった。

 韓国のタイトなマークに手を焼き、得意のドリブルから決定機を生み出せない。途中から最前線にポジションを移しても、持ち味のドリブルで切り崩す場面は限られた。

 44分には宮代大聖(川崎フロンターレ)の左クロスに飛び込んだが、合わせられず絶好機をフイにした。

 後半も幾つかのチャンスが巡ってきた。50分に菅原由勢(名古屋グランパス)の右サイドからのクロスをファーサイドで受け、左足でシュートを放った。これは相手GKの好セーブに阻まれてしまい、17歳は天を仰いだ。その後も貪欲にゴールを目指した。だが、最後までネットを揺らせず、試合終了直後、西川はピッチに呆然と立ち尽くした。

「数ミリ、数センチのところで決め切るかどうか。そこが勝負を分けました」 試合後、西川は詰めの甘さを痛感したと言う。

 思い返せば、昨夏のインターハイ決勝の山梨学院戦(●2-3)もそうだった。2年生ながら桐光学園の10番を背負うと、値千金の先制点を奪ってみせた。このまま行けばヒーローになれるはず、だった。だが、1−0で迎えたラストプレー。ゴール前へボールを運ぶと、時間を使わず、勝負を決める2点目を取りにいった。

 しかし、決定機を決め切れず――。逆に相手のカウンターを浴びて同点弾のきっかけを与えてしまった。最終的にチームは延長戦で敗れ、悔し涙を流した。

 その試合後、桐光学園の鈴木勝大監督は西川に対し、期待を込めて檄を飛ばした。

「(チャンスの場面で)1本で景色を変えられる選手にならないと。自分自身で優勝や代表権を勝ち獲れる。そんな選手に成長していってほしい」

 すると同年10月、マレーシアU-16アジア選手権のファイナルで決勝ゴールを決め、今秋のブラジルU-17W杯の出場権獲得に大きく貢献している。

 だが、今回はチームの命運の懸かった場面で、求められた結果を残すことができなかった。

「背後への抜け出しや、ボールに絡んでチームの攻撃を牽引するところが良かったと思いますけど、もっともっとやれることはあったので、そこはすごく悔しいです」

 さらに、やれた−−。西川の残した言葉に込められた想いは、決定的な仕事をできなかった自分への戒めだろう。

 今後は桐光学園と特別指定選手としてプレーするC大阪で技を磨く。秋にはU-17ワールドカップも控え、雪辱を晴らす舞台がこの先に待っている。

取材・文:松尾祐希
text by Yuki MATSUO

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