「遠藤航は泣いて『レッズに…』と言えなかった」湘南の眞壁会長が記者会見で涙ぐんだ理由

浦和レッズの遠藤航。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

RIZAPの経営権取得で、選手年俸アップの話題になり…。

 4月6日に都内で行われたRIZAPグループによる湘南ベルマーレ(以下、湘南)の経営権取得に伴う記者発表会の席で、湘南の眞壁潔会長が選手交渉の舞台裏を明かして涙ぐむシーンがあった。RIZAPグループはクラブハウスの充実やトレーニングの先端テクノロジー導入などに加え、3年10億円を投資し、選手の補強費や年俸に充てられることを発表。その使い道についての話題になったときだった――。

 この20年間、湘南は親会社なしで存続の危機を乗り越え、選手育成に力を注ぎながら、J1レベルで戦えるチームに成長を遂げた。しかし選手の年俸は、J1平均以下。それがネックとなり、クラブはその先のステージ(規模)へとなかなか進めずにいた。「地元でしっかり育てた選手が出ていくのが当たり前になっていってしまった」と眞壁会長は語り、交渉の席で選手が泣いてしまうこともしばしあったという。湘南への愛着はあっても、移籍金を残して去ることがクラブのためにもなる――。それが定着してしまった。

 その一例として、遠藤航が2015年のU-22日本代表の中東遠征中に眞壁会長へ電話をかけてきたときのことを挙げた。眞壁会長は「電話越しで彼は泣いていて、『レッズに行きます』という一言を涙で言えなくなってしまっていた。そんな想いをさせてしまい、それで同じプロ集団なのかと自問自答した」と、眞壁会長も涙ぐみながら当時を振り返った。遠藤航は翌年から浦和へ移籍していった。

 RIZAPの投資について眞壁会長は、「命の資金。選手年俸にも反映させたい」と語るとともに、「1万円を5000円にしてしまうクラブもあるが、うちは1万円を1万3000円にできるクラブだと自負している」とRIZAPと力を合わせ育成・強化の両面に力を入れていくことを強調した。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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