「あのケガも今はポジティブに」GK東口順昭が絶望の先に辿り着いた新境地

東口順昭 写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

激突の瞬間、「もうワールドカップの舞台は、手元になくなった」と感じた。

[国際親善試合] 日本 – パラグアイ/2018年6月12日/インスブルック(オーストリア)

 日本代表には、GK東口順昭(ガンバ大阪)がいる。ワールドカップ・ロシア大会の初戦コロンビア戦を控え最後の公式戦となる、6月12日のオーストリアで開催されるパラグアイ戦。W杯代表に初めて選出された東口の先発出場の可能性が高まっている。

 4月21日の9節・セレッソ大阪戦でチームメイトの三浦弦太と激突し、右頬骨骨折(みぎきょうこつこっせつ)と右眼窩底骨折(みぎがんかていこっせつ)。全治まで約1か月を要した。

 5月12日の横浜F・マリノス戦で復帰を果たすと、1-1のドローに持ち込む。そしてW杯中断前最後の浦和レッズ戦ではスコアレスドロー。いずれの試合も、東口の鬼気迫るようなセービングで幾度となく訪れたピンチを凌いだ。

「あのケガをした瞬間、もう、手元にはこの(ワールドカップの)舞台はないものだと思ったんです」

 東口は頷いて語る。

「だからこそ、よりアグレッシブにチャレンジしてやろうと、そういう気持ちが強まりました。それを練習からしっかり出せていて、僕自身もコンディションが上がってきているのを実感できています。あとはゲーム形式で、どれだけアピールできるか」

 横浜戦でも、浦和戦でも、フェイスガードをつけた”バットマン東口”が、まさにチームを救うヒーローのような存在となった。一度は、すべて終わった、と絶望の淵に立たされた。そういう男の強さを見せ付けた。

「だから、ケガはしましたけれど、今思えば、ポジティブに捉えられています」

 もう、彼のなかでは、あの大ケガは過去の話。勲章のようにさえなっている。

 日本代表は昨年12月16日のE-1選手権で韓国に1-4で敗れたあと、勝利から見放されている。そこから1分4敗。最近は3連敗中だ。西野朗監督が就任しても、閉塞感は打破できずにいる。

 日本が最後に勝ったのが、E-1選手権の12月12日の中国戦(スコアは2-1)だった。その試合、GKとしてフル出場したのが東口だった。

 今、求められているのは「結果」だ。結果を残してきた東口に、チャンスが与えられるのは必然な流れと言える。その魂の宿った守備で、負の連鎖に陥る日本を”前向き”にできるか。

取材・文:塚越 始
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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