【Jの肖像】全ては再びJ1のピッチに立つため。そしてカズは誰よりも先に―

そしてカズは誰よりも先に――。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

4試合連続のベンチで、チームも敗れ…。

[J2 32節] 東京V 2-1 横浜FC/2018年9月8日/味の素スタジアム

 横浜FCのFWカズこと三浦知良は17試合連続となるメンバー入りを果たしたものの、最近4試合連続出場機会を得られず。3連勝していたチームも、東京ヴェルディとの上位対決で4試合ぶりに敗れてしまい、目の前に迫ったJ1自動昇格圏2位突入へ一旦足踏みとなった。

 試合開始前、ベンチスタートの選手たちも一旦体を作っておくという。スクランブルでの投入に備えてだ。だから、監督やコーチのあと、ときには試合が開始してからベンチに来る選手も少なくない。

 この日の試合開始前、味スタのスタンド下にあるウォームアップ場から、最初に出てきたベンチ入りメンバーがカズだった。

 彼はタヴァレス監督からは一番離れた、横浜FCのサポーターよりの椅子に座る。そして、そのあと来たチームメイトやスタッフと芝の状態などだろうか意見を交わしていた。

 ハーフタイムには、まずピッチに立つ11人を出迎える。そして自身のウォームアップに努める。

 後半に入ってしばらく経つと、ベンチメンバー全員で練習をする。11番のレプリカユニフォームを着た観客も、スタンドの前のほうに来て、カズを写真に収める。横浜FCであり、Jリーグの特別な存在。

 51歳のフィールドプレーヤー――カズがJリーグにいる光景が当然のように思えている。ただ、それは永遠ではない。しかも、彼が目指しているのは、ただ、現役を続ける、というためではない。

 もちろんカズしか有さない蓄積された経験があり、彼を支える大勢のファンとサポーターがいる一方で、年齢など関係ないひとりの選手として、変わらず目の前の試合でのチームの勝利のみを追求してきた。

 どうすれば勝てるのか? どうすれば試合に出られるのか?

 悔しい想いなどしたくない。しかし、その悔しさがまた明日の原動力になっている。カズは横浜FCの底力であり、牽引する推進力でもある。その両方をこなすのはおそらく至難だ。

 全ては再びJ1のピッチに立つために。日本にいる全てのサッカー選手がまず目指すJ1のステージに立つために。カズは何度も不死鳥のごとく蘇ってきた横浜FCの一員として、再びJ1に戻るため、今日もまた人より一汗多くかいている。

文:サカノワ編集グループ

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