【監督就任の舞台裏】夏にオファー。札幌がペトロヴィッチ氏の心を掴む

札幌での監督就任が決定的な、前浦和指揮官のミハイロ・ペトロヴィッチ氏。写真:徳原隆元

浦和を退団した後、早い段階で接触。「本気」「誠意」が結実する。

前浦和監督のミハイロ・ペトロヴィッチ氏が、来季、コンサドーレ札幌の新監督に就任することが正式に発表された。北の大地で、どのような新たな攻撃的スタイルを展開するのか、大きな話題を集めることは間違いない。

札幌は8月下旬~9月上旬には、ペトロヴィッチ氏に正式オファーを出していたと言われる。その迅速に動いた札幌の「本気」と「誠意」が、10月に60歳の誕生日を迎えた闘将の心を動かした。7月29日に浦和は札幌に0-2で敗れ、その晩の未明に解任が決まった。その引導を渡した札幌の指揮官になるというのも、因縁めいたものを感じる。

これまでネルシーニョ前監督を8月16日に解任したヴィッセル神戸、また、エリク・モンバエルツ監督の今季限りでの退任を11月2日に発表していた横浜F・マリノスが、ミシャ(ペトロヴィッチ氏の愛称)招聘へのリサーチをしていたという。ただし、クラブとのビジョンの共有など、ミシャが重視するさまざまな「条件」が合致したのが札幌だった。

今季の札幌は四方田修平監督のもと、ペトロヴィッチ氏が浦和で採用していたのと同じ3-4-2-1システムで戦い、ジェイの夏のマーケットでの獲得後に噛み合い、J1残留のミッションを成し遂げている。そのスタイルがペトロヴィッチ新監督によって、どのように進化するのかも注目だ。

また、浦和では鈴木啓太をボランチに据え、梅崎司を左ウイングバックに抜擢し、ポテンシャルのある選手の「再生」に成功している。小野伸二、稲本潤一という黄金世代のタレントをいかにして戦力に落とし込むのか。彼らが今季以上の輝きを放てるはず。昨季浦和時代の指揮官が獲得に動いた福森晃斗、成長株の菅大輝、中心選手の宮澤裕樹、ストライカーの都倉賢やジェイ……浦和時代とは異なる個性を持つ選手たちのミシャスタイルの中でどのように化学反応を起こすのかも楽しみだ。

課題を挙げるならば、すでにミシャスタイルがJ1で研究され尽くされていること。相手の戦い方や布陣に応じた、柔軟性を果たして持てるか。ペトロヴィッチ氏の頑固さはプラス面も、マイナス面もある。マイナス面を補うには、ペトロヴィッチ氏が思いつかない発想や選択肢を、上手く伝えられるような右腕となるコーチもほしい。

また、ペトロヴィッチ氏は浦和時代、「練習場に来てくれた人と人がつながってくれたら嬉しい」と言い、基本的にすべての練習を公開していた。ただし――より貪欲に勝利を欲したり、タイトルを狙ったりするのであれば、試合前2日間など、非公開練習の日を設けてもいいのではないか。おそらく、それで文句を言う人は少なくなった。もちろん、時々ドキッとする発言をするユーモアと緊張感のある記者会見(インタビュー)は継続してもらいたい。

ミシャは「私は基本的にはプラス思考」と常に言っていた。そのスタンスが、周りにいるたくさんの人も魅了してきた。間違いなく、北海道に多くの実りをもたらすはずだ。

文:サカノワ編集グループ

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