山岸から柏木へ「汰木をヨロシクな!」浦和に加入した23歳のドリブラーの背中を新旧山形勢が後押し
浦和に加入した汰木康也(左)。(C)SAKANOWA
原口、関根、駒井、高木……その系譜に続きたい。
モンテディオ山形から浦和レッズに完全移籍で加入したMF汰木康也(ゆるき・こうや)が1月16日、新加入発表会見で2019シーズンに向けて抱負を語った。
横浜F・マリノスジュニアユース時代のことだった。ボールボーイを務めていた日産スタジアムでの横浜FM対浦和戦、ピッチ上の選手たちのパフォーマンスも、サポーターの応援も、浦和が”圧勝”を収めた。その時の一体感のあるインパクトに衝撃を受けたという。
汰木は横浜FMユースを経て山形に加入。1年目はJ2で2試合、2年目はJ1で1試合と、ほとんど出場機会を得られずにいた。しかしプロの厳しい世界で揉まれながらひ弱さは払拭され、身長も183センチまで伸びた。スピードに加え力強さも兼ね備えたドリブラーに進化を遂げ、J2リーグで2016年21試合2得点、17年37試合2得点、18年31試合2得点と、主力として攻撃を牽引してきた。
そして「自分も、周りのみんなも驚いた」という浦和から完全移籍の獲得オファーが届いた。そして、あの時――ジュニアユース時代――の痺れた想いが蘇り、挑戦を決断した。
「高卒(ユース出身)でプロに進んでから、本当に攻撃しかできない選手でした。守備の大切さ、ハードワークの大切さを石崎監督、木山監督から学びました。『守備なんてしなくても攻撃で違いを生み出せばいいだろう』ぐらいに思っていたけれど、手応えも少しずつ感じてきました。
そのなかで守備をやりつつも良さが消えないようにというバランスが、昨季はイメージ通りにピッチの上で出せた実感はありました。それを自信にして、まだまだ守備には真摯に取り組まないといけないですが、攻撃に関してもJ1で誰にも負けないレベルに持っていきたい。どちらも一流になれるように意識を持って取り組んでいきます」
汰木はそのように抱負を語る。
最後は山形の監督や新旧のチームメイトから温かい言葉をもらった。
木山隆之監督からは「自分の選んだ道。信じてチャレンジして来い!」と背中を押された。また、以前浦和に在籍した阪野豊史や田村友もいろいろな情報を教えてくれたそうで、加入決定後には山形時代のチームメイトである山岸範宏(ギラヴァンツ北九州で昨季引退)からも連絡をもらった。そして山岸らから浦和の選手たちに「汰木をヨロシクな!」と伝えてくれたという。そういったつながりから柏木陽介らとも沖縄自主トレに行き、すぐ打ち解けることもできた。
さらに山形時代のチームメイトだった茂木力也とは山形の元チームメイトである。「最初はどんどん頼っていこうと思います」という心強いパートナーだ。
まさに、様々な巡り合いのなかで運命的に浦和へ辿り着いた。
さらに突き抜けていけるか。背番号は「24」で、その番号をつけた原口元気や関根貴大……さらには駒井善成、高木俊幸らといったドリブラーの系譜に続きたい。何より目鼻立ちのキリっとした23歳のアタッカーは、さっそく人気を集めそうだ。
文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI