GK挑戦わずか2年で千葉加入。相澤がFWからの転向を告げられた時の「本心」
GK相澤ピーターコアミ。(C)SAKANOWA
高校1年の冬、コンバートが人生の分岐点に。
新潟県の日本文理高からジェフユナイテッド市原・千葉へ今季新たに加入したGK相澤ピーターコアミは、異例のキャリアの持ち主だ。GKに転向したのは高校1年の冬。それからわずか2年でプロ入りを果たしてみせた。
2001年1月20日生まれの18歳。ガーナ人の父親を持ち、193センチ・78キロという恵まれた体格を持つ。
「ゴールキーパーを始めたのが高校1年生の冬でした。そこから、本当にあっという間でした。選手権に出ることができて、ジェフからオファーをいただいて……。(小学生から続けていた)FWのままだったら、どうなっていたかは分かりません。関わってくださった皆さんに感謝しています」
FWからセンターバックへの転向は少なくない。しかし、「GKをやってみないか」と言われた時は果たしてどう思ったのか――。
相澤は振り返る。
「実は小学、中学の時から『GKをやってみてもいいんじゃないか』ということを言われていました。だから、(コンバートについて)言われた時は、そこまで驚きはしませんでした。むしろ、本格的な転向について話がした時、『あ、来たな』と思いました」
とはいえ、最前線から最後尾へと移ったプレーは、当初少なからず戸惑ったという。そのなかで、「いろんなものを見て、自分がGKとして活躍するビジョンを思い描いて取り組んできました」。
時間は限られている。より質の高いものを吸収しようと、相澤は「いろんな選手を見て、いろんな選手のいいところを取り込めたらと思いました」と、国内外のあらゆる選手のプレーをチェックした。
何よりGKに転向したことで、「プロを意識した」と、Jリーグでプレーすることは夢から目標へとスイッチが入った。練習メニューをはじめ細部にこだわりながら取り組み、2年時に選手権へ出場を果たした。それでも高校最後の1年間は、悔しい想いをした。
「インターハイも選手権も出られず、自分の力不足を実感する1年になりました。それでもチャンスをくださったジェフのスカウトの方々に本当に感謝しています。高校サッカーで輝いていた選手よりも、輝いていかないといけない。何より文理高初のプロなので、学校の代表として絶対に活躍したいです」
千葉のユニフォームに身を包んだ1月7日の新体制発表会見。スタート地点に立った相澤は、希望に胸を膨らませていた。
「どこまで行けるか、とても楽しみです。GKとしての経験が少ないので、まだノビシロがあると感じています。生まれながらの外国の血も流れているので、いつかは海外のリーグに挑戦したい想いはあります。そのためにも、ジェフでチャンスを掴み、アンダー世代の日本代表に入って活躍していけたらと思います」
ちなみにFWのままであったら、プロになれたかどうかは…「正直、難しかったと思います」と言う。
人を惹きつける魅力がある。周りをあっという間に包み込んでしまう雰囲気を持っていることはメリットで、確かにそのあたりもGK向きかもしれない。背番号は30。「ピーターが着ているという番号にしていきたいです」と、大きな体で大きな笑顔を浮かべた。楽しみな逸材だ。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI